トップ
>
藪畳
>
やぶだたみ
ふりがな文庫
“
藪畳
(
やぶだたみ
)” の例文
その両側の道具置場には、幾筋かの細い通路を残して、書き割、さまざまの張り物、
藪畳
(
やぶだたみ
)
などが、ゴチャゴチャと詰め込んである。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
下には椅子テーブルに植木鉢のみならず舞台で使う
藪畳
(
やぶだたみ
)
のような
植込
(
うえこみ
)
が置いてあるので、何となく狭苦しく一見
唯
(
ただ
)
ごたごたした心持がする。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
根笹
(
ねささ
)
や
青薄
(
あおすすき
)
に
交
(
まじ
)
って
漆
(
うるし
)
の木などの生えた
藪畳
(
やぶだたみ
)
の中へ落ちて
茨
(
いばら
)
に手足を傷つけられるかであった。
馬の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そこは
入間川
(
いるまがわ
)
と
高麗川
(
こまがわ
)
の二水にはさまれていて、幾ツもの低い岡や静脈のごとき支流の水や、同じような土橋や
藪畳
(
やぶだたみ
)
や森や池や窪地の多いため、ここへ足を入れた旅人は
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
闇をあてもなく見廻したが、雨や枝や葉を
顫
(
ふる
)
わせている
藪畳
(
やぶだたみ
)
が茂っているばかりであった。と、君江の心の中へ、ピカリとひらめくものがあった。で「小柄!」とつぶやいた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
たいへんな数の篠竹は二十や三十の株ではなかった。
藪畳
(
やぶだたみ
)
を起す
風塵
(
ふうじん
)
と同様の
捲
(
ま
)
き起しは、民さんの顔をまっ黒にさせ、株はまるでどうにも手のつけようのないほど山積されて行った。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その恐ろしさ……道もわからない
藪畳
(
やぶだたみ
)
や、高草の中を
生命
(
いのち
)
限りの思いで逃げ出して行っても、相手はソンナ処に慣れ切っている半野生化した女ですから、それこそ飛ぶような早さです。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
四方へ引張つた
綱
(
つな
)
が揺れて、鐘と太鼓がしだらでんで
一斉
(
いちどき
)
にぐわんぐわらん、どんどと鳴つて、其で
市
(
いち
)
が栄えた、店なのであるが、一ツ目小僧のつたひ
歩行
(
ある
)
く
波張
(
なみばり
)
が
切々
(
きれぎれ
)
に、
藪畳
(
やぶだたみ
)
は
打倒
(
ぶったお
)
れ
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
藪畳
(
やぶだたみ
)
をかきさがしたり、書き割を動かしてみたりして、抜け目なく眼をくばりながら、グルッと一巡したけれど、どこの隅にも人影らしいものもない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
合方
(
あいかた
)
、
床
(
ゆか
)
の浄瑠璃、ツケ、拍子木の如き一切の音楽及び音響と、
書割
(
かきわり
)
、
張物
(
はりもの
)
、
岩組
(
いわぐみ
)
、
釣枝
(
つりえだ
)
、
浪板
(
なみいた
)
、
藪畳
(
やぶだたみ
)
の如き、凡て特殊の色調と情趣とを有せる舞台の装置法と
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「向うに見える森を抜けると、お屋敷
堺
(
ざかい
)
の
高塀
(
たかべい
)
があります。そのどん
詰
(
づま
)
りの
藪畳
(
やぶだたみ
)
で」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「今
曲者
(
くせもの
)
に
逢
(
お
)
うたのじゃ」若衆は既に沈着に声も乱さず云うのであった。「すぐ川の側の
藪畳
(
やぶだたみ
)
、そこまで来ると覆面の武士が、十人ほどむらむらと走り出て、私に切ってかかったのじゃ。 ...
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
温泉
(
いでゆ
)
の口は、お雪が花を貯えておく庭の奥の
藪畳
(
やぶだたみ
)
の蔭にある
洞穴
(
ほらあな
)
であることまで、忘れぬ夢のように覚えている、谷の主とも
謂
(
い
)
いつべき居てつきの
媼
(
おうな
)
、いつもその昔の繁華を語って落涙する。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道具方の若者が、足元の
藪畳
(
やぶだたみ
)
の下敷きになっている、一匹の大きな
虎
(
とら
)
の縫いぐるみを発見してつぶやいた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
提灯の火は邸内の
藪畳
(
やぶだたみ
)
から植込の中まで潜り、六尺棒は御殿の床下まで叩き廻った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大きな
土竜
(
もぐら
)
と思ったに、
汝
(
わりゃ
)
筑紫権六だな! いつぞや大原の街道を、百地三太夫に逢い損ねブラブラ帰る夕暮れ時、
藪畳
(
やぶだたみ
)
から手下と共に、現われて出た
追剥
(
おいは
)
ぎの頭、それがやっぱり筑紫権六
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
鐘と太鼓がしだらでんで
一斉
(
いちどき
)
にがんがらん、どんどと鳴って、それで
市
(
いち
)
が栄えた、店なのであるが、一ツ目小僧のつたい
歩行
(
ある
)
く
波張
(
なみばり
)
が
切々
(
きれぎれ
)
に、
藪畳
(
やぶだたみ
)
は
打倒
(
ぶったお
)
れ、
飾
(
かざり
)
の石地蔵は仰向けに反って、視た処
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……吉田玄蕃様の一族で、筋目正しいお父様も、根岸に近い
藪畳
(
やぶだたみ
)
で、初夏の雨の降る寂しい晩に、人手にかかって殺されました。せっかく妾がお傘を持って、お迎えに道までまいりましたのに。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それからは家続きで、ちょうどお町の、あの
家
(
うち
)
の
背後
(
うしろ
)
に当る、が、その間に
寺院
(
てら
)
のその墓地がある。
突切
(
つッき
)
れば近いが、
避
(
よ
)
けて来れば雷神坂の上まで、土塀を一廻りして、
藪畳
(
やぶだたみ
)
の前を抜ける事になる。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
藪
漢検準1級
部首:⾋
18画
畳
常用漢字
中学
部首:⽥
12画
“藪”で始まる語句
藪
藪蚊
藪入
藪鶯
藪蛇
藪蔭
藪原
藪睨
藪地
藪柑子