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荒莚
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あらむしろ
ふりがな文庫
“
荒莚
(
あらむしろ
)” の例文
ある時、
葛籠屋
(
つづらや
)
の店蔵に
荒莚
(
あらむしろ
)
を敷いた段をつくって、段上に丸鏡と
榊
(
さかき
)
と燈明をおき
神縄
(
しめ
)
を張り、白衣の男が無中になって怒鳴っていた。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
更に
雪明
(
ゆきあか
)
りで
透
(
すか
)
して
視
(
み
)
ると、土間の隅には二三枚の
荒莚
(
あらむしろ
)
が積み重ねてあったので、お葉は
之
(
これ
)
を
持出
(
もちだ
)
して
先
(
ま
)
ず
框
(
かまち
)
の上に敷いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
関翁を
先頭
(
せんとう
)
にどや/\入ると、
形
(
かた
)
ばかりの
床
(
ゆか
)
に
荒莚
(
あらむしろ
)
を敷いて、
汚
(
よご
)
れた
莫大小
(
めりやす
)
のシャツ一つ
着
(
き
)
た二十四五の
毬栗頭
(
いがぐりあたま
)
の坊さんが、ちょこなんと
座
(
すわ
)
って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
裲襠
(
うちかけ
)
、眼も眩ゆく、白く小さき素足痛々しげに
荒莚
(
あらむしろ
)
を踏みて、真鍮の
木履
(
ぼくり
)
に似たる踏絵の一列に近付き来りしが、小さき唇をそと噛みしめて其の前に
立佇
(
たちと
)
まり
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
柱は竹を堀り立てたばかり、屋根は骨ばかりの障子に
荒莚
(
あらむしろ
)
をかけたままで、人の住むとも思われぬが、内を覗いてみると、船板を並べた上に、破れ蒲団がころがっている。
嵐
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
右にも左にも山が
聳
(
そび
)
えている。谷底に三人の異様な風をした男が一人の男を
連
(
つれ
)
て来て、両手を縛って、
荒莚
(
あらむしろ
)
の上に坐らせて殺そうとしている。三人の
悪者
(
わるもの
)
の
眼球
(
めだま
)
は光っていた。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お新の死体は、石井家の奉公人に相違ないので、切戸から裏庭へ持込まれ、まだ検死前で、
荒莚
(
あらむしろ
)
をかけたままにしてあり、側には湯島の吉が、むつかしい顔をして番をして居ります。
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
頭立った役人は、
処刑
(
しおき
)
の場所を選定して、そこに二枚の
荒莚
(
あらむしろ
)
を敷かせ
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遥か向こうの
下手
(
しもて
)
の方に、
荒莚
(
あらむしろ
)
のたれが見えていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
続いて眼に触れたのは醜怪なる
𤢖
(
わろ
)
三人の屍体で、
一人
(
いちにん
)
は眼を
貫
(
つらぬ
)
かれた上に更に胸を貫かれ、一人は脳天を深く
刺
(
ささ
)
れて、
荒莚
(
あらむしろ
)
の片端を
握
(
つか
)
んだまま
仰反
(
のけぞ
)
っていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
頭上
(
ずじょう
)
の星も、霜夜も、座下の
荒莚
(
あらむしろ
)
も忘れて、彼等もしばし忘我の境に入った。やがてきり〻〻と舞台が廻る。
床下
(
ゆかした
)
で若者が五人がゝりで廻すのである。村芝居に廻り舞台は中々
贅沢
(
ぜいたく
)
なものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
見ると自分と並んで
荒莚
(
あらむしろ
)
の上にひき据えられている女の囚人がある。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
微
(
かすか
)
な
唸声
(
うなりごえ
)
が左の隅に聞えたので、彼は
其方
(
そのほう
)
へ探って行くと、一枚の
荒莚
(
あらむしろ
)
が手に触れた。莚を
跳退
(
はねの
)
けて進もうとすると、何者か
其
(
その
)
莚の
端
(
はし
)
を固く掴んでいるらしい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
検視の役人がまだ出張しないので、死骸は岸の桜の下へ引き揚げたままで
荒莚
(
あらむしろ
)
を着せてあった。吉五郎はそっと眼をくばると、人込みのなかに兼松のすがたが見いだされた。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
莚
漢検1級
部首:⾋
10画
“荒”で始まる語句
荒
荒野
荒唐無稽
荒磯
荒寥
荒涼
荒海
荒々
荒神
荒地