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苦艱
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くかん
ふりがな文庫
“
苦艱
(
くかん
)” の例文
いかにも傍観者の言いそうな
冷
(
ひやや
)
かな言葉である。
苦艱
(
くかん
)
にある友に
向
(
むかっ
)
て発する第一語において、かく
訶詰
(
かきつ
)
の態度を取るは
冷刻
(
れいこく
)
といわねばならぬ。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
人間が、人間を奴隷とし、自欲のためには、他の
苦艱
(
くかん
)
をも意としない、そのことが人道にもとるにもかゝわらず。不問にされることも知っている。
人間否定か社会肯定か
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
きゃつを油断のならない人物とは、
疾
(
と
)
くから思わぬのでなかったが、永い道中をともにし、
苦艱
(
くかん
)
にも本心をみせず、常に冗談や軽口を言いあうにつれて
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
念仏または題目の力で
苦艱
(
くかん
)
を
済
(
すく
)
ってやったというのとあるが、いずれにしても満足に
依託
(
いたく
)
を果した場合には、非常に礼を言って十分な報謝をしたことになっている。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
旅
(
たび
)
の
疲労
(
つかれ
)
も
有
(
あ
)
らつしやらうか、
何
(
なん
)
なら、
今夜
(
こんや
)
は
私
(
わし
)
が
小家
(
こや
)
へ
休
(
やす
)
んで、
明日
(
あす
)
の
晩
(
ばん
)
にも、と
言
(
い
)
ふたが、
其
(
それ
)
には
及
(
およ
)
ばぬ……
若
(
も
)
しや、
其
(
それ
)
が
真実
(
しんじつ
)
なら、
片時
(
へんし
)
も
早
(
はや
)
く
苦艱
(
くかん
)
を
救
(
すく
)
ふて
進
(
しん
)
ぜたい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
半生を通してめぐりにめぐった原因の無い
憂鬱
(
ゆううつ
)
の結果か、それとも母親のない幼い子供等を控えて三年近くの
苦艱
(
くかん
)
と戦った結果か、いずれとも彼には言うことが出来なかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
父御
(
ててご
)
、母御、一家一門のかたきが討ちてえばっかりに、
肝胆
(
かんたん
)
を
砕
(
くだ
)
き、
苦艱
(
くかん
)
をかさねて来たあの人が、いよいよという瀬戸際に、つまりもしねえ女泥棒風情の、恋のうらみから、底を割られ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
復
(
ま
)
た当年の
苦艱
(
くかん
)
を
顧
(
かえり
)
みる者なく、そが細君すらも
悉
(
ことごと
)
く虚名虚位に
恋々
(
れんれん
)
して、
昔年
(
せきねん
)
唱えたりし主義も本領も失い果し、一念その身の
栄耀
(
えいよう
)
に
汲々
(
きゅうきゅう
)
として借金
賄賂
(
わいろ
)
これ本職たるの有様となりたれば
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
剣山に行きついて、剣山の土になるのは、いわゆる、
木乃伊
(
みいら
)
とりの
木乃伊
(
みいら
)
になるの
類
(
たぐい
)
で、弦之丞がここまでの
苦艱
(
くかん
)
も、結果は、無意味なものに帰してしまう。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰か知ろう、実は、そのあいだに、彼の心には、次の
苦艱
(
くかん
)
を突きぬく用意ができていたのである。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“苦艱”の意味
《名詞》
苦しみ。苦難。
(出典:Wiktionary)
苦
常用漢字
小3
部首:⾋
8画
艱
漢検1級
部首:⾉
17画
“苦”で始まる語句
苦
苦悶
苦笑
苦々
苦痛
苦患
苦力
苦労
苦手
苦衷