色々いろいろ)” の例文
茴香うゐきやう野罌粟のげし黄蜀葵とろろあふひ色々いろいろと物言ひかけるよその小花こばなよりも、おまへたちのはうがわたしはすきだ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
当時とうじ夏目先生なつめせんせい面会日めんかいび木曜もくようだったので、私達わたしたちひるあそびにきましたが、滝田たきたさんはよるって玉版箋ぎょくばんせんなどに色々いろいろのものをいてもらわれたらしいんです。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
幾面もとりよせて色々いろいろのと検定して中から一番気に入った品を周旋しゅうせんしてやった、ところが不思議にもその品はかつて見た事がある様な気がする、もしやと、箏樋ことひの裏を見ると吃驚びっくりした
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
つきすると、色々いろいろものあおくなりました。三つきすると、なかからはなきました。
色々いろいろ聞いたり答へたりしてるうちに、一つ新しい事実を発見した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
また今見た姿を隣人となりのひととは思ったが寝ぼけ眼の事だから、もしや盗賊どろぼうではないかと私はすぐ寝台ねだいから飛下とびおりて行ってドアじょうしらべると、ちゃんとかかっている、窓の方や色々いろいろと人の入った形跡を見たが
闥の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
すなわちその貼紙を発見したのだ、買った娘は、あだかも何か白羽の矢が自分にでも当ったかの如く思って、ワッとばかり自分の前に泣き伏した、自分は色々いろいろなぐさめて、ようやく安心させたが
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
わたしはいつもっていたことですが、滝田たきたさんは、徳富蘇峰とくとみそほう三宅雄二郎みやけゆうじろう諸氏しょしからずっとくだって僕等ぼくらよりもっととしわかひとにまで原稿げんこうつうじて交渉こうしょうがあって、色々いろいろ作家さっか逸話いつわっていられるので
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)