腐蝕ふしよく)” の例文
にぎやかだよ。一寸ちよつとつて御覽ごらん。なに電車でんしやつてけばわけはない」とすゝめた。さうして自分じぶんさむさに腐蝕ふしよくされたやうあかかほをしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
要するにすたれて放擲られた都會の生活のかす殘骸ざんがい………雨と風とに腐蝕ふしよくしたくづと切ツぱしとが、なほしもさびしい小汚こぎたないかげとなツて散亂ちらばツてゐる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其代そのかはりに奧壁おくかべから一しやくずんへたてて、一れついしならべてあり、それから三じやくへだてて、まただいれついしならべてある。其間そのあひだに、人骨じんこつ腐蝕ふしよくしたのが二三たいどろごどくなつてよこたはつてる。鐵鏃てつぞくがある。
これは木材もくざい乾燥かんそうするのと、表面ひようめんから次第しだい腐蝕ふしよくしてるとにるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
わかき日のその夢の腐蝕ふしよくしづこころなし。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そして自ら生命としてゐた藝術も忘れて了ツて、何時とはなくあじの薄い喰物にも馴れて行くのであツた==平民の娘は次第に彼の頭を腐蝕ふしよくさせた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
濃霧のうむはそそぐ……腐蝕ふしよくにく衰頽すゐたい、——
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
然うなると周三はさすがにうちかへりみて心にづる、何だか藝術の神聖をがすやうにも思はれ、またお房に藝術的良心りやうしん腐蝕ふしよくさせられるやうにも感ずる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
さいへ、見よ、むろ腐蝕ふしよく
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)