聖書バイブル)” の例文
木村は常に机に向いていました、そして聖書バイブルを読んでいたことだけは今でも思い出しますが、そのほかのことは記憶にないのです。
あの時分 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
無雑作に開いて見ると、これは聖書バイブルだった。細い字が隙間なしに植えてある。まんざら漁師町に関係のないこともないと思って
聖書 (新字新仮名) / 生田春月(著)
如何どうかんがへても聖書バイブルよりは小説せうせつはう面白おもしろいにはちがひなく、教師けうしぬすんでは「よくッてよ」小説せうせつうつゝかすは此頃このごろ女生徒ぢよせいと気質かたぎなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
聖書バイブルにこういう文句ことばがあります。「一粒の麦、地におちて死なずば、ただ一つにて終わらん。死なば多くの実を生ずべし」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
そのほか、空気清浄器や食糧いろいろの貯蔵もあり、娯楽用の小説やトランプもあり、聖書バイブルとハンドブックもあった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
聖書バイブル息吹いぶきに満たされていた画家が、また明快なパストゥールほど、熱烈謙譲な信仰に貫かれていた学者が、ヨーロッパのいかなる国にいたかと反問した。
「ええもう静かすぎて淋しい位ですよ。でもそんな時、いつも聖書バイブルを少しずつ読むことにしていますの。」
湖水と彼等 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「ええ。私の、聖書バイブルとじが切れてしまって、そこへ、ページのはしが飛びました」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから『聖書バイブル』にヨハネが千年後天魔獄を破り出て、世界四隅の民を惑わすと言ったを誤解して、紀元一千年が近くなった時全欧の民大騒ぎせし事、明治十四年頃世界の終焉おわりが迫り来たとて
聖書バイブルを読んで、お父様やお母様のためにお祈りをしました。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
小形の聖書バイブルが何日でも衣嚢ポケツトに入れてあつた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
イプセンと聖書バイブル、イプセンは常に聖書バイブルだけは座右を離さなかったというから、これもまんざら関係がないでもないと思う。
聖書 (新字新仮名) / 生田春月(著)
帰ってどうしたか、聖書バイブルでも読んだか、賛美歌でも歌ったか、みな忘れてしまいました。ただ以上の事だけがはっきりと頭に残っているのです。
あの時分 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この籾をば、机の上においただけでは、いつまでたっても、一粒の籾でしかありません。キリスト教の聖書バイブルのうちに
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
ある民衆が聖書バイブルで身を養ってる間は、僕はそれをまったくの文化の民だとはけっして信じないだろう。
けば聖書バイブルかてにする道徳家だうとくかが二十五銭の指環ゆびわ奮発ふんぱつしての「ヱンゲージメント」、綾羅りようら錦繍きんしゆう姫様ひいさま玄関番げんくわんばん筆助君ふですけくんにやいの/\をんだはての「ヱロープメント」
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
友人の世話で引受けてる陸軍省の安価な飜訳……徒らに書き散らしてる詩や雑文の原稿……盛岡で私淑していたフランス人の牧師から貰った聖書バイブル……ファーブルやダーウィンなどの著書……重にロシアの小説の飜訳書……和装の古ぼけた平家物語……それからいろんなこまこましたもの。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
朝一度晩一度、彼は必ず聖書バイブルを読みました。そして日曜の朝の礼拝にも、金曜日の夜の祈祷会きとうかいにも必ず出席して、日曜の夜の説教まで聞きに行くのでした。
あの時分 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
聖書バイブルですね」とKさんを見ると、Kさんのその貴族的な、いかにも旗本の血統を承けているらしいすっきりした顔は、微笑にゆるんで、やや得意の色があった。
聖書 (新字新仮名) / 生田春月(著)
福音書も旧約書の配剤がなければ、味のない不健全な料理にすぎない。聖書バイブルは生きんことを欲する民衆の骨格なのだ。戦わなければいけない、憎まなければいけない。
どうしてキリストにもっと興味を見出せないのか、自分でも分らなかった。それでも彼は教義を実行していた。家の者は皆教義を実行していた。祖父はよく聖書バイブルを読んでいた。
そして西国立志編は彼の聖書バイブルである。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
彼はかくて、聖書バイブルの数ページをほとんど原文どおりに取ってきてそれを音楽に移した。
しかし現代においては、ヘンデルの時代における聖書バイブルのように、ヨーロッパの各民衆のうちに共通な情操を喚起せしめ得るごとき、霊感的主題を見出すことが、至って困難であった。
うわの空で丁寧ていねいに聞いてやり、一杯の茶を飲み、楽しげに冗談を言い、聖書バイブルの中に述べられてる葡萄ぶどう酒はアルコール分のある飲料ではなかったという意見を、飲み物のことから言い出し
彼は寝床にすわって燈火をつけた。ぐっしょり汗をかいていた。彼は立ち上がって、かばんを開き、ハンカチを捜した。手は古い聖書バイブルにさわった。母がシャツの間に隠しておいてくれたものである。