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羽蟲
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はむし
鳩はお
腹が
空いてゐました。
朝でした。
羽蟲を一つみつけるがはやいか、すぐ
屋根から
庭へ
飛びをりて、それを
捕まえました。
日は
經ち、
月はかはつたが、
暑さが
續く。
分けて
雨催ひで
風の
死んだ、
羽蟲の
夥しい
夜であつた。
御者は
懶惰な
婢の
指頭から
發掘す
彼の
圓蟲といふ
奴の
半分がたも
無い
鼠裝束の
小さい
羽蟲、
車體は
榛の
實の
殼、それをば
太古から
妖精の
車工と
定ってゐる
栗鼠と
蠐螬とが
製りをった。
饑渇の
攻や、
貪婪の
羽蟲の
群もなにかあらむ
羽蟲はくるしい
爪の
下で、いひ
澁つてゐましたが
思ひ
切つて