絶倫ぜつりん)” の例文
さきに身代みがわりの自分の首に引導いんどうわたして、都田川みやこだがわ水葬礼すいそうれいをおこなった快侠僧かいきょうそう、なんとその猛闘もうとうぶりの男々おおしさよ! 生命力せいめいりょく絶倫ぜつりんなことよ!
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
びんに霜を置いて、月代さかやきも見事に光つて居りますが、慾も精力も絶倫ぜつりんらしく、改めて平次に挨拶した樣子を見ると、三千兩の打撃で、すつかり萎氣しよげ返つて居るうちにも
あんな武勇ぶゆう絶倫ぜつりん御方おかたでございますから、おにかからぬうちは、どんなにもこわ御方おかたかとぞんじてりましたが、実際じっさいはそれはそれはおさしい御風貌ごようすなのでございます。
稀世きせい海底戰鬪艇かいていせんとうていこと孤島こたう生活中せいくわつちう有樣ありさま、それから四年よねん以前いぜんには、穉氣あどけなく母君はゝぎみわかれたりし日出雄少年ひでをせうねんいまおほきくなりて、三年さんねんあひだ智勇ちゆう絶倫ぜつりん櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさ愛育あいいくしたに、なにからなにまで
「社長は相変らず精力絶倫ぜつりんでいらっしゃいますな」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その精力の絶倫ぜつりんさには、彼の家族も側近も、驚き呆れていたらしい。小瀬道喜おぜどうき甫庵太閤記ほあんたいこうきにも、その状を写して
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は、武勇絶倫ぜつりんだが、単純な男である。歓びの余り、例の赤兎馬せきとばに乗って、さっそく王允の家へやってきた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それっと手下の者ども、総がかりとなって、相手の浪人をおおいつつみましたが、その者の膂力りょりょく絶倫ぜつりんで、当れば当るほど猛気を加え、如何とも手がつけられません。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの、温厚おんこうにして深略しんりゃくのある小幡民部こばたみんぶ、あのやさしくて凛々りりしい咲耶子さくやこ、あの絶倫ぜつりん槍術家そうじゅつかと弓の名人である、蔦之助つたのすけ巽小文治たつみこぶんじにもずいぶんながく会わなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし彼の場合は、尋常よのつねの人の年齢や肉体とくらべては考え得られないものがある。それはそうした皮膚や筋肉とはまったく別箇のものみたいにある絶倫ぜつりんな精力だった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三宅軍兵衛、市川江左衛門、矢野弥平治などで、主人の入道丸の父忠朝は、大坂役の夏の陣で戦死して、剛勇絶倫ぜつりんといわれた大名だけに、その家臣のうちにも、豪を誇る人物が多かったらしい。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「舌は、絶倫ぜつりんだな。剣もそんなになればすばらしいが……」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)