たっ)” の例文
旧字:
ほのぼのと夜が明け離れてから四時間ばかりたった。烏は畦の並木に止まって悲しそうな声で鳴いている。ちょうど雪の晴間はれまであった。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
紙入かみいれに金を入れて置く、ソレは二か三分か入れてある、入れてあるけれども何時いつまでたってもその金のなくなったことがない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
二三日たって夜食の時、このことを父母に話しましたところ何時いつ遊戯あそびのことは余り気にしない父がかどたてしかり、母すら驚いた眼を張って僕の顔を見つめました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
私ハカネテカラ二人ノ様子ガオカシイト感ジテ居リマシタカラ、其ノ時何トナク気ニナリマシタノデ暫クたっテカラ私モ便所ニ行ッテクルカラト申シテ室外ニ出マシタ。
彼が殺したか (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
つまり、あの鉄工場の裏で突き殺された二つの屍体は、此処ここまで運ばれ、おもしを附けられて海中へ投げ込まれる。丁度ちょうど二号船渠ドック扉船とせんぐ側だ。それから四日たって昨日の晩だ。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
それから少したって、チッチッという音がすると、パッと火が現われて、彼は一ツの建物の中の土間にうずくまっていて、マッチを擦って提灯の蝋燭ろうそくに火を点じようとしているのであった。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
およそ一箇月ばかりたって本当の喫烟客になった。処が例の酒だ。何としても忘れられない。卑怯ひきょうとは知りながら一寸ちょい一盃いっぱいやって見るとたまらない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
怨霊おんりょうというものは何年たっても消えないものだろうか。』と問いました。すると里子は平気で
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それから半歳はんとし余りたった頃、また周丹泉が唐太常をおとずれた。そして丹泉は意気安閑として、過ぐる日の礼を述べた後、「御秘蔵のと同じような白定鼎をそれがしも手に入れました」
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
目に見えぬうちに時間のたって行くのが何の訳なく気を焦立いらだたした。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その時は急いで逃げたから人が怪我けがをしたかどうかわからなかった。ところが不思議にも一箇月ばかりたっれがわかった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
其内五週間もたった、お秀は出て来ないのみならず、欠勤届すら出さない。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
日が暮て一時間もたってから磯吉が水を汲みに来た。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)