)” の例文
住むに家なく、口にするかてもない難民は大路小路にあふれております。物とり強盗は日ましにしげくなって参ります。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
だから芸をって口をするのを恥辱とせぬと同時に、学問の根底たる立脚地を離るるのを深く陋劣ろうれつと心得た。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(みすぼらしい姿をして格別不平もいはぬ細君)毎日佐野の下に使はれて口をするだけの收入も無い境遇、此頃は小説は固より俳句すら作る勇氣のない墮落、肺病、貧
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
燒趾やけあとよこたはつたはりはしらからまだかすかなけぶりてつゝつぎけた。勘次かんじはおつぎを相手あひて灰燼くわいじんあつめることに一にちつひやした。手桶てをけつめたい握飯にぎりめし手頼たよりない三にんくちした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
先づ差当り白米の代価百文につき五合ならねば窮民口をし難しと記し、また或は米穀はもとより諸色しよしきの代価速かに引下ぐるにあらずんば忽ち市中を焼払はんなどと書裁しよさいなしたる所もあり
口をせんとすれば、学を脩むるのかんなし、学を脩めんとすれば、口を糊するを得ず。一年三百六十日、脩学、半日の閑を得ずして身を終るもの多し。道のために遺憾なりというべし。
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
父達は仙台へ、兄は神戸へ、そして私は独り東京に残った。私も漸く自分の口は自分でせねばならなくなった。爾来じらいいろんな人の世話になりいまに至った。その間私なりに多少の浮沈はあった。
前途なお (新字新仮名) / 小山清(著)
住むに家なく、口にするかてもない難民は大路小路にあふれてをります。物とり強盗は日ましにしげくなつて参ります。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
すでにみずから学者と唱えて天下の事を患うる者、あに無芸の人物あらんや。芸をもって口をするは難きにあらず。かつ官にありて公務をつかさどるも私にいて業を営むも、その難易、異なるの理なし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)