穿索せんさく)” の例文
「ありません。」と、丸山はすぐにかぶりをふった。「無論に手分けをしていろいろに穿索せんさくしたんですけれど、影も形もみえません。 ...
麻畑の一夜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし百五号室における第一夜以来、二度とその気の毒な男の顔を見なかったので、僕は彼について面倒な穿索せんさくをせずに済んだ。
これは不思議な行動というべきで、北極の狐は一般に人間をまったく知らず、また穿索せんさく好きの性質であるので、容易に捕えられるほど非常に慣れ近づくものであるからである。
此故に小説は決して事実の研究、科学的の穿索せんさくなくして書き得べきものに非ず。然るに之に命ずるに純文学てふ空名を以てし、不研究なる想像の城中に立籠らんとするは卑怯ひけふなりと云ふに在りき。
透谷全集を読む (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
今店先で誰れやらがよろしく言ふたと他の女が言傳たでは無いか、いづれ面白い事があらう何とだといふに、あゝ貴君もいたり穿索せんさくなさります、馴染はざら一面、手紙のやりとりは反古の取かへツこ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
が、かれはたしていたちたぬきか、あるいは人の悪戯いたずらかと種々いろいろ穿索せんさくしたが、ついに其正体を見出し得なかつた。宿やどの者はあくまでも鼬と信じてゐるらしいとの事。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
今店先でれやらがよろしく言ふたとほかの女が言伝ことづてたでは無いか、いづれ面白い事があらう何とだといふに、ああ貴君あなたもいたり穿索せんさくなさります、馴染はざら一面、手紙のやりとりは反古ほごの取かへツこ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
冗談まじりにいろいろ穿索せんさくすると、氷垣も結局降参して、実は姉娘のお政とは秘密の関係が無いでもないが、妹のお時とは何の関係もないと白状した。
怪獣 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いま店先みせさきれやらがよろしくふたとほかおんな言傳ことづてたではいか、いづれ面白おもしろことがあらうなんとだといふに、あゝ貴君あなたもいたり穿索せんさくなさります、馴染なじみはざら一めん手紙てがみのやりとりは反古ほごとりかヘツこ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「海から来るならば格別、もし山から来るならば足跡のつづいていない筈はない。こんよくそれを穿索せんさくしてみろ。」
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この話は特に調査や穿索せんさくをしたわけではなく、すべて私のおぼつかない記憶をたどって、自分の見聞にかかる事件のみを語るのであるから、自然の結果として
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こういうむずかしい穿索せんさくになりますと、浅学のわれわれにはとても判りませんから、ともかくも昔から言い伝えの通りに、晋の干宝の撰ということに致して置いて
ここらの町家まちやは裏手に庭や空地あきちっているのがならいであるから、巡査等は同家どうけ踏込ふみこんでず裏庭を穿索せんさくした。が、縁の下にも庭の隅にも重太郎の姿は見えなかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
種々に手を尽くして穿索せんさくしたが、遂にその端緒を探り出し得ないので、もう思い切って帰ろうかと思案しながら、付近の町をぼんやりと歩いていると、町のまんなかで盲目の老人に逢った。
こんなたぐいを穿索せんさくしたら、各地方にいろいろの面白いものがありましょう。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
詰合つめあいの武士も怪しんで種々いろいろ詮議せんぎ穿索せんさくして見たが、更にその仔細が分らず、気の弱い女共はきもを冷して日を送っている中に、右の家鳴震動は十日ばかりでんだかと思うと、今度は石が降る。
池袋の怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
詳しく調べたならば、その当時まだほかにもいろいろの出来事があったかも知れないが、学校時代のわたしはうした問題に就いてあまり多くの興味をもっていなかったので、別に穿索せんさくもしなかった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そうなると又おせっかいに此女の身許を穿索せんさくするものがある。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)