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痴情
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ちじょう
ふりがな文庫
“
痴情
(
ちじょう
)” の例文
Tolède Andalousie
(
トレド アンダルジイ
)
の国々よ。燃上る
其
(
そ
)
の声もなき狂熱を、君いづこよりか
齎
(
もたら
)
せし。おそろしき
痴情
(
ちじょう
)
の狂ひかな。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
抱
(
いだ
)
いていたかも知れず
一概
(
いちがい
)
に利太郎であるとは断定し難いまた必ずしも
痴情
(
ちじょう
)
の
沙汰
(
さた
)
ではなかったかも知れない金銭上の問題にしても
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「落着きなさい。……
痴情
(
ちじょう
)
の
業
(
わざ
)
のするところだ、
醒
(
さ
)
めた後では、己れの心が、己れでもわからないほど、
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
ないものになってくる」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一面から
云
(
い
)
えば氏はあまり女性に
哀惜
(
あいせき
)
を感ぜず、男女間の
痴情
(
ちじょう
)
をひどく
面倒
(
めんどう
)
がることに
於
(
おい
)
て、まったく
珍
(
めず
)
らしい
程
(
ほど
)
の性格だと云えましょう。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
妹が聟養子を迎えると聴いたくらいでやけになる柳吉が、腹立たしいというより、むしろ可哀想で、蝶子の折檻は
痴情
(
ちじょう
)
めいた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
▼ もっと見る
貴方は、柿丘氏死亡の責任を、主治医の白石博士に向けるように故意にさまざまの策動をしたり、博士夫人が
痴情
(
ちじょう
)
関係から加害でもしたかのように仕むけました。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
元々
痴情
(
ちじょう
)
の家出ならともかく、亭主と喧嘩して飛びだす、そういう場合は別で、自分はさる娘と十日あまりも恋愛旅行をしたことがあるが娘は身をまかせなかった
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
衣服に非ざることもまた知れり、衣服の
顧
(
かえり
)
みるに足らざることもまた知れり、常識なき
痴情
(
ちじょう
)
に
溺
(
おぼ
)
れたりという
莫
(
なか
)
れ、妾が良人の
深厚
(
しんこう
)
なる愛は、かつて少しも衰えざりし
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
屋内
(
おくない
)
はべつに
取乱
(
とりみだ
)
されず、
犯人
(
はんにん
)
が
何
(
なに
)
かを
物色
(
ぶっしょく
)
したという
形跡
(
けいせき
)
もないから、
盗賊
(
とうぞく
)
の
所為
(
しょい
)
ではないらしく、
従
(
したが
)
つて
殺人
(
さつじん
)
の
動機
(
どうき
)
は、
怨恨
(
えんこん
)
痴情
(
ちじょう
)
などだろうという
推定
(
すいてい
)
がついたが、さて
現場
(
げんば
)
では
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
前車
(
ぜんしゃ
)
の
覆轍
(
ふくてつ
)
以てそれぞれ身の用心ともなしたまはばこの一篇の『矢筈草』
豈
(
あに
)
徒
(
いたずら
)
に男女の
痴情
(
ちじょう
)
を種とする売文とのみ
蔑
(
さげす
)
むを得んや。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
痴情
(
ちじょう
)
の
怨
(
うら
)
みか何にかでお由を殺した最初の犯人が、なお飽き足らずに屍体を運ぶ二人の後を附け、其処で再び残忍な行為を犯したとも思えるし、或いは空地に棄てられた後お由は偶然に
蘇生
(
そせい
)
して
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
皆
痴情
(
ちじょう
)
のためにその身を亡し親兄弟に歎をかけ友達の名を
辱
(
はずかし
)
めたる事
時人
(
じじん
)
の知るところなり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
宛
(
さなが
)
ら山吹の花の実もなき色香を誇るに等しい
放蕩
(
ほうとう
)
の生涯からは空しい
痴情
(
ちじょう
)
の夢の名残はあっても、今にして初めて知る、老年の
慰藉
(
なぐさみ
)
となるべき子孫のない身一ツの
淋
(
さび
)
しさ
果敢
(
はかな
)
さ。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“痴情”の意味
《名詞》
恋愛感情が度をこし、理性がきかない感情。
(出典:Wiktionary)
痴
常用漢字
中学
部首:⽧
13画
情
常用漢字
小5
部首:⼼
11画
“痴情”で始まる語句
痴情関係