琅玕らうかん)” の例文
いろ五百機いほはた碧緑あをみどりつて、濡色ぬれいろつや透通すきとほ薄日うすひかげは——うちなにますべき——おほいなる琅玕らうかんはしらうつし、いだくべくめぐるべき翡翠ひすゐとばりかべゑがく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
青白いその薄明りのなかに、幾本かの青竹が、琅玕らうかんのやうな滑かなつめたい肌をして、行儀よく真直に立つてゐる。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
琅玕らうかんもてけづり成せるが如し。これに登らんと欲すれば、巖扉みつに鎖して進むべからず。すゐするに、こは天堂に到る階級きざはしにして、其門扉は我が爲めに開かざるならん。
たとふれば鑛脈くわうみやくにひそむ琅玕らうかんか愚昧の中に叡智光れる
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
二もとの橄欖かんらんしげる琅玕らうかんの亭の四方を船かよひけり
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
琅玕らうかん断崖きりぎしづたひ投網とあみうついさりおぢ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
やまくづれたので、當時たうじ大地震おほぢしん觸頭ふれがしらつた場所ばしよの、あまつさ四五日しごにち琅玕らうかんごとあし水面すゐめんかぜもなきになみてると、うはさしたをりであつたから。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
琅玕らうかんのやうな白い幹
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)