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狸穴
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まみあな
ふりがな文庫
“
狸穴
(
まみあな
)” の例文
安達君は心気
頓
(
とみ
)
に回復した。外へ出たら、秋の空が高かった。日本橋から麻布の
狸穴
(
まみあな
)
まで、電車の中も佳子さんのことを思い続けた。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
蟹穴
(
かにあな
)
、
狸穴
(
まみあな
)
、
狐穴
(
きつねあな
)
、穴さがしとくるとあっしがまた自慢なんだからね。ぱんぱんとたちまちかぎつけてめえりますから、お待ちなさいよ……
右門捕物帖:36 子持ちすずり
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
すなわち、牛蒡丸
抜安
(
ぬきやす
)
の細身の一刀、これをぶら下げた図というものは、
尻尾
(
しっぽ
)
じゃないが、十番越に
狸穴
(
まみあな
)
から狸に化かされた同様な形です。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
狸穴
(
まみあな
)
のとある家、生垣の前に、土地の岡つ引が待つて居りました。狸穴に縁を持たせて鼓の源吉といふポンポンした四十男。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは
狸穴
(
まみあな
)
の支社の客間で見たものと同じだから、
一対
(
いっつい
)
を二つに分けたものだろうと思った。そのほかには長い幕の上に、
大
(
おおき
)
な額がかかっていた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
……といえば麻布の
狸穴
(
まみあな
)
にいるものとばかり
此方
(
こっち
)
は思っている。——麻布にいるものがそんな目に逢うわけはない。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
この
狸穴
(
まみあな
)
に住みついたのでございますが、おいおい眷属が増えまして、只今、三百三十三狸になっております
顎十郎捕物帳:17 初春狸合戦
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
やはりあの
狸穴
(
まみあな
)
の先生が云った事は
適中
(
あた
)
っていたので、母は何か人に、つけ狙われるような憶えがありましたために、自分達の居所をできるだけ隠そうとして
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私が地下室にたとえてみた自分の
部屋
(
へや
)
の障子へは、町の響きが遠く伝わって来た。私はそれを植木坂の上のほうにも、浅い谷一つ隔てた
狸穴
(
まみあな
)
の坂のほうにも聞きつけた。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
緊迫した石垣の冷たさが
籠
(
こ
)
み
冴
(
さ
)
えて
透
(
とお
)
った。暗い
狸穴
(
まみあな
)
の街路は静な登り坂になっていて、ひびき返る靴音だけ聞きつつ梶は、先日から驚かされた頂点は今夜だったと思った。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「
麻布
(
あざぶ
)
の
狸穴
(
まみあな
)
まで行かなくちゃならない。」
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「
狸穴
(
まみあな
)
からだから、途中にかかるのよ」
二人いるとき
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
つづいて
狸穴
(
まみあな
)
を一席、きめた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「君も狸ですかって、君が訊いた。僕は分らなかった。
狸穴
(
まみあな
)
に住んでいるんですかって、君が訊き直した。成程、これは洒落だと思った」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
綾子夫人は、待てしばし、
過日
(
いつか
)
も
狸穴
(
まみあな
)
の
辺
(
ほとり
)
にて在原夫人にかかりし事あり。その時
渠
(
かれ
)
は病者を見棄てて大きに面目を失いぬ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「へエ、目のさめるやうな娘でしたよ。——
身裝
(
みなり
)
は惡かつたが、あんな綺麗なのは、神明にも
狸穴
(
まみあな
)
にもありません」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
東京から
直方
(
こちら
)
へ来たわけは、母が
卜筮
(
うらない
)
を立てたんだそうです。「
狸穴
(
まみあな
)
の先生はよく
適中
(
あた
)
る」
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
橡
(
とち
)
の木の並んだ
狸穴
(
まみあな
)
の通りを歩いたとき、夕暮のせまった街に人影はなかった。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「ヘエ、目のさめるような娘でしたよ。——
身装
(
みなり
)
は悪かったが、あんな綺麗なのは、神明にも
狸穴
(
まみあな
)
にもありません」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
狸穴
(
まみあな
)
の狸じゃないが、一本松の幹の中へ入った気で居て、それに供えるという処から、入りしなに
壜
(
びん
)
に詰めた白いのを、
鼻頭
(
はなさき
)
で掻分けたつもりで居る。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「兄さんは
狸穴
(
まみあな
)
にいらっしゃるんじゃありませんか?」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
狸穴
(
まみあな
)
に落合って暮すうち、福島と岩根は折合をつけた。藤助という
鋳掛
(
いかけ
)
の心得のある下男にタガネを拵えさせ、未刻印小判にタガネを入れて、三千両を
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あれだ、聞いたか——池の端茅町の声でないよ、麻布
狸穴
(
まみあな
)
の
音
(
おん
)
だ。ああ、返事と一所に、鶯を聞きたいなあ。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
狸穴
(
まみあな
)
に落合つて暮すうち、福島と岩根は折合をつけた。藤助といふ
鑄掛
(
いかけ
)
の心得のある下男にタガネを拵へさせ、未刻印小判にタガネを入れて、三千兩を
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かくて
狸穴
(
まみあな
)
の
辺
(
ほとり
)
なる
狭隘路
(
せまきみち
)
に
行懸
(
ゆきかか
)
れば、馬車の
前途
(
ゆくて
)
に当って往来の
中央
(
まなか
)
に、大の字に寝たる
屑屋
(
くずや
)
あり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そんな事を言ひ乍ら、三人は芝山内から
麻布
(
あざぶ
)
狸穴
(
まみあな
)
へ、ゆら/\ゆらぐ、街の
陽炎
(
かげろふ
)
を泳ぐやうに辿つて居たのです。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
○今朝麻布
狸穴
(
まみあな
)
にて、
疾病
(
しっぺい
)
、飢餓、
交々
(
こもごも
)
起り、往来に卒倒して死に
垂々
(
なんなん
)
とせる屑屋あり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「その日は丁度、親分と一緒に
狸穴
(
まみあな
)
の菊を見に行つて、麻布で一杯呑んで、夜遲くなつてから、フラフラと神田へ戻つたぢやありませんか。良い秋日和で」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は、当日、
小作
(
しょうさく
)
の
挿画
(
さしえ
)
のために、場所の実写を
誂
(
あつら
)
えるのに同行して、
麻布我善坊
(
あざぶがぜんぼう
)
から、
狸穴
(
まみあな
)
辺——化けるのかと、すぐまたおなかまから苦情が出そうである。が、
憚
(
はばか
)
りながらそうではない。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ガラッ八は背筋を
擽
(
くすぐ
)
られるような心持で振り返りました。菊日和の
狸穴
(
まみあな
)
から、
榎坂
(
えのきざか
)
へ抜けようというところを、後ろからこう
艶
(
なま
)
めかしく呼止められたのです。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
就いては場所——場所は
麻布
(
あざぶ
)
——
狸穴
(
まみあな
)
ではなく——二の橋あたり、十番に近い
洒落
(
しゃ
)
れた処ゆえ、お取次をする前に、様子を見ようと、この不精ものが、一度その辺へ出向いた、とお思い下さい。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ガラツ八は脊筋を
擽
(
くす
)
ぐられるやうな心持で振り返りました。菊日和の
狸穴
(
まみあな
)
から、
榎坂
(
えのきざか
)
へ拔けようと言ふところを、後ろから斯う
艶
(
なま
)
めかしく呼止められたのです。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
狸穴
(
まみあな
)
へ菊でも見に行かうか、それとも、
萩
(
はぎ
)
寺にしようかと、ムラムラと
謀叛氣
(
むほんぎ
)
が起きてゐるところへ
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
わけは大ありで——先刻
狸穴
(
まみあな
)
の歸り、後から聲を掛ける者があるぢやありませんか。振り返つて見ると凄いほど美い女で——無理にあつしを茶店へ引入れて、——何を
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
跡部満十郎にしては、事件の当夜、夜中に飛出して
狸穴
(
まみあな
)
へ行き、岩根半蔵の家から槍を持出して、怪し火の矢を飛ばし、藤助に合図した上、手筈の通りに運ぶのは何でもなかったのです。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「平次、
狸穴
(
まみあな
)
まで行ってみないか、
竹光
(
たけみつ
)
で武家が一人殺されたんだが——」
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの妹のお袖は善人さ。女も美しい氣立ても申分はないやうだ。が、兄のことまではわかるものか。現に丁度あの頃、
狸穴
(
まみあな
)
の骨董屋の手代で、五十兩剽盜に取られたといふ訴へが出てゐる」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの妹のお袖は善人さ。女も美しい気立ても申分はないようだ。が、兄のことまではわかるものか。現にちょうどあの頃、
狸穴
(
まみあな
)
の骨董屋の手代で、五十両
剽盗
(
ひょうとう
)
に取られたという訴えが出ている」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
狸
漢検準1級
部首:⽝
10画
穴
常用漢字
小6
部首:⽳
5画
“狸穴”で始まる語句
狸穴坂
狸穴町
狸穴組