父君ちゝぎみ)” の例文
結びて懷姙くわいにんなしゝ一子なるが民間みんかんに成長して後未見みけん父君ちゝぎみ將軍と成しかば證據ものたづさへて訴へ出たるなればよしお世繼よつぎとせざるまでも登用とりあげてもて生涯しやうがい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いろのくつきりとしろい、口元くちもと父君ちゝぎみ凛々りゝしきに眼元めもと母君はゝぎみすゞしきを其儘そのまゝに、るから可憐かれん少年せうねん
父君ちゝぎみにともなはれて新富座の樂屋に九代目市川團十郎をたづねたとき、坊ちやんも早く大きくなつて、好い芝居を書いてくださいと、笑ひながら言はれたのを、ただ、それだけならば
八歳の時の憤激 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
過ぎにし秋を父君ちゝぎみ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
少年せうねんよわひやうやく八さいこの悲境ひきようちて、回顧くわいこしてあのやさしかりし母君はゝぎみ姿すがたや、ネープルスでわかれた父君ちゝぎみことなどをおもうかべたときは、まあどんなにかなしかつたらう、いま
いますこしくいろ淺黒あさぐろくなつて、それに口元くちもとキリ、としまり、のパツチリとした樣子やうすは、なにともへずいさましい姿すがた此後このゝち機會きくわいて、かれ父君ちゝぎみなる濱島武文はまじまたけぶみ再會さいくわいしたときちゝ如何いかおどろくだらう。