温和おんわ)” の例文
右のほおを打つ者あらば左をもたたかせよというがごとき、柔順じゅうじゅん温和おんわの道を説き、道徳上の理想としてこれが一般社会に説かれたのである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
かれは、人柄ひとがらとしては、まことに温和おんわ風貌ふうぼう分別盛ふんべつざかりの紳士しんしである。趣味しゅみがゴルフと読書どくしょだという。そして、井口警部いぐちけいぶとのあいだに、つぎのような会話かいわがあつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
平生へいぜいはちょいちょいわたくしのところへもおまいりにる、いたって温和おんわな、そして顔立かおだちもあまりわるくはないおんななのでございますのに、嫉妬しっとめにはんなにも精神こころくるって
なほこのたい氣候きこう温和おんわひと居住きよじゆうにも適當てきとうし、また高山こうざん中腹ちゆうふく以下いかなのですから、土地とちはやくからひら人口じんこうおほく、物産ぶつさんるのも、ほかのたいよりずつと多量たりようです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
もとより、すぐれた才気はあったが、善良であったに相違ない。温和おんわであったに相違ない。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
余はコロボックルは温和おんわなる生活せいくわつを爲せし者と考ふ
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
女々めめしいとか、意気地いくじなしにもれるが、僕のここに用いた女らしいというは善意にいたので、温和おんわ柔順じゅうじゅんの意味である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)