此辺このあたり)” の例文
旧字:此邊
すると何時いつにかいまあがつたやまぎてまた一ツやまちかづいてた、此辺このあたりしばらくのあひだ広々ひろ/″\として、前刻さツきとほつた本街道ほんかいだうよりつとはゞひろい、なだらかな一筋道すぢみち
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「梅子さん、貴嬢あなた此辺このあたりらつしやらうとは思ひ寄らぬことでした、」と篠田は池畔ちはんの石に腰打ちおろし「どうです、天はみどりの幕を張り廻はし、地はくれなゐむしろを ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
一里といえば人里からのみ遠からぬ処であるにもかかわらず、ここは殆ど通路の無いほどに岩石けわしくそそり立っているのと、昔から此辺このあたり魔所ましょと唱えられているのとで
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
此辺このあたりの狭い町角では薩摩いもや梨をでて湯気ゆげの立つのを売つて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
余は宿の子を残して、一人此辺このあたりを散歩すべく小屋を出た。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
衣絵きぬゑさんが此辺このあたり旅行たびしたときくるまふのを、はなし次手つひでいたのが——寸分すんぶんちがはぬ的切てつきりこれだ……
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)