-
トップ
>
-
此辺
>
-
このあたり
すると
何時の
間にか
今上つた
山は
過ぎて
又一ツ
山が
近づいて
来た、
此辺暫くの
間は
野が
広々として、
前刻通つた
本街道より
最つと
巾の
広い、なだらかな一
筋道。
「梅子さん、
貴嬢が
此辺に
在らつしやらうとは思ひ寄らぬことでした、」と篠田は
池畔の石に腰打ちおろし「どうです、天は
碧の幕を張り廻はし、地は
紅の
筵を ...
一里といえば人里から
左のみ遠からぬ処であるにも
拘らず、ここは殆ど通路の無いほどに岩石
嶮しく
峭り立っているのと、昔から
此辺は
魔所と唱えられているのとで
此辺の狭い町角では薩摩
藷や梨を
茹でて
湯気の立つのを売つて居た。
余は宿の子を残して、一人
此辺を散歩すべく小屋を出た。
衣絵さんが
此辺を
旅行した
時の
車と
言ふのを、
話の
次手に
聞いたのが——
寸分違はぬ
的切此だ……