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檣上
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しやうじやう
入る
船停泊つて
居る
船、
其船々の
甲板の
模樣や、
檣上に
飜る
旗章や、また
彼方の
波止塲から
此方へかけて
奇妙な
風の
商舘の
屋根などを
眺め
廻しつゝ
然れば
奇怪の
船、
我に
信號を
試みんとならば、
果して
如何なる
手段をか
取ると
瞻めて
居ると、
忽ち
見る、
海蛇丸の、
檣上、
檣下、
船首、
船尾、
右舷、
左舷に
閃々たる
電燈輝き
出でゝ
安全進航の
表章となるべき
球形の
檣燈が、
何かの
機會で
糸の
縁を
離れて、
檣上二十
呎ばかりの
所から
流星の
如く
落下して、あはやと
言ふ
間に
船長が
立てる
船橋に
衝つて、
燈は
微塵に
碎け