本町ほんちょう)” の例文
この年に五百の姉壻長尾宗右衛門が商業の革新をはかって、横山町よこやまちょうの家を漆器店しっきみせのみとし、別に本町ほんちょう二丁目に居宅を置くことにした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
正「これはどうも大変わたくしすぐにおいとまをいたしましょう……ナニそれはソノ何んで、本町ほんちょうの伊兵衞さんと同じ名が不思議ですな」
元禄十一年に、金座を日本橋本町ほんちょう一丁目、常盤橋わきに移し、明治二年に造幣局が新設されるまでずっとその位置にあった。
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この際に大通りの本町ほんちょう二丁目に、滝山弥次兵衛たきやまやじべえという金持があって、家を新築するのに町に面した屋根だけを瓦で葺き、むねから裏のほうは板葺きにした。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「敵国航空軍とおぼしき約十数機よりなる飛行隊は、本町ほんちょう上空を一万メートルの高度をとって、午後九時五十分、北北西に向け飛行中なり。以上。川口町防空隊長、網島あみじま少尉」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
◦日本料理法大全 石井治兵衛じへえ氏著、東京日本橋区本町ほんちょう三丁目博文館はくぶんかん発行、定価弐円五十銭
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
日本橋本町ほんちょう三丁目一番地嚢物ふくろもの商鈴木米次郎方のじょちゅうおきんと云うのが、某夜あるよ九時すぎ裏手にある便所へ入ろうとして扉をあけると、急に全身に水を浴びせられたようにぞっとして
簪につけた短冊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
日本橋通りの本町ほんちょうの角からと、石町こくちょうから曲るのと、二本の大通りが浅草橋へむかって通っている。現今いまは電車線路のあるもとの石町通りがまちの本線になっているが、以前もとは反対だった。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
二人はそのまま本町ほんちょうの石井平四郎の家へ行きました。十日目ぐらいの訪問です。
木挽町こびきちょう五丁目辺の或る待合まちあいへ、二三年以前新橋しんばし芸妓げいぎ某が、本町ほんちょう辺の客をくわえ込んで、泊った事が有った、何でも明方だそうだが、客が眼を覚して枕をもたげると、坐敷のすみに何か居るようだ
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
すると本町ほんちょうの辻で、はたと、目のさめるような美しい娘に出会った。白粉気おしろいけはないが、りんとして、しかもなよやかで、文筥ふばこを胸に抱いている姿のどこかに初々ういういしさもあって、気品のある武家娘だった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本町ほんちょう丁目ちょうめでございます」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
万国橋通を本町ほんちょうの方へ、何気なにげなくスタスタ歩きだした彼はものの十歩も歩かないうちに、ハッと顔色をかえた。ああなんという無残な光景が、前面に展開されていたことだろう。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二人の女というのは本町ほんちょう三丁目の糸屋の娘おひなと、その女中のおそめ、お雛はまだ十七ですが本町小町といわれた美しさ、本当に透き通るような江戸前の娘で、お染は平次の女房お静のお針友達で
武「これはなんで、芝口しばぐち三丁目の紀国屋きのくにやと申すが何時も出入であつらえるのだが、其所そこへ誂えずに、本町ほんちょうの、なにアノ照降町てりふりちょう宮川みやがわで買おうと思ったら、彼店あすこは高いから止めて、浅草茅町あさくさかやちょう松屋まつやへ誂えて」
「とにかく、やってみるとしよう。子さらいも、長崎や堺や、大坂から流行はやって来たことで、江戸では品川寄りと深川にあっただけだが、俺の縄張うちへ来ちゃ放っておけまい。八、一緒に本町ほんちょうまで行ってみるか」