“文筥”の読み方と例文
読み方割合
ふばこ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
文筥ふばこを手に持ってノソノソ帰って行く中間のうしろ姿へいまいましそうに舌打ちをひとつくれて、二階の自分の部屋へもどって来る。
顎十郎捕物帳:16 菊香水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
女は蒔絵まきえ文筥ふばこを持っていた。その文筥はかなり古びたもので、結んだしでひもも太く、その紫の色もすっかり褪色たいしょくしていた。
葦は見ていた (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と、往来の者も、後振り向いて、お通の代りに声を揚げ合っていたが、その時、彼方の辻から、胸に文筥ふばこを掛けた何家どこかの下郎が、牛の前に歩いて来た。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)