晴渡はれわた)” の例文
空はさはやか晴渡はれわたツて、星が、何かの眼のやうに、ちろり、ちろりまたたきをしてをる。もう村の若衆等わかいしゆたちが、夜遊よあそび歸途かへり放歌うたすらきこえない。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
とき丁度ちやうど時過じすぎ。いつもなら院長ゐんちやう自分じぶんへやからへやへとあるいてゐると、ダリユシカが、麥酒ビール旦那樣だんなさま如何いかゞですか、と刻限こくげん戸外こぐわいしづか晴渡はれわたつた天氣てんきである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
もよほしけるが三日もくれはや四日となりにける此日は早天さうてんより長閑のどかにて四方晴渡はれわたり海上青疊あをだたみを敷たる如くあをめきわたりければ吉兵衞も船頭せんどう船表ふなおもてへ出て四方をながなみしづかなる有樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
空が瑠璃のやうに奇麗に晴渡はれわたツて、星が降るやうにきらめいている晩に、螢を追駈廻してゐるのは、何樣どんなに愉快な事であツたらう。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
とき丁度ちょうど時過じすぎ。いつもなら院長いんちょう自分じぶんへやからへやへとあるいていると、ダリュシカが、麦酒ビール旦那様だんなさま如何いかがですか、と刻限こくげん戸外こがいしずか晴渡はれわたった天気てんきである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
つい挨拶あいさつをぞなしたり其夜吉兵衞には酒肴しゆかう取寄とりよ船頭せんどうはじめ水主かこ十八人を饗應もてな酒宴しゆえんもよほしける明れば極月ごくづき廿九日此日は早天より晴渡はれわたり其上追手おつての風なれば船頭杢右衞門は水主共かこども出帆しゆつぱん用意ようい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)