-
トップ
>
-
はれわた
空が瑠璃のやうに奇麗に
晴渡ツて、星が降るやうに
煌いている晩に、螢を追駈廻してゐるのは、
何樣なに愉快な事であツたらう。
時は
丁度四
時過ぎ。いつもなら
院長は
自分の
室から
室へと
歩いていると、ダリュシカが、
麦酒は
旦那様如何ですか、と
問う
刻限。
戸外は
静に
晴渡った
天気である。
突て
挨拶をぞなしたり其夜吉兵衞には
酒肴を
取寄せ
船頭はじめ
水主十八人を
饗應し
酒宴を
催しける明れば
極月廿九日此日は早天より
晴渡り其上
追手の風なれば船頭杢右衞門は
水主共に
出帆の
用意を