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易々
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ふりがな文庫
“
易々
(
いい
)” の例文
私は何の意味もなく、ただ自分を慰めるように
易々
(
いい
)
と見せかけた。こんな私の楽天的な態度にもすっかり母は愛想を尽かしていた。
地球儀
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
さるを、一戦もせず、御所の地たる京都を
易々
(
いい
)
として敵に渡すからには、あれみよ光秀こそは、何を奉じて天下に立たんつもりぞ。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平和会議に集る世界の列強の
使臣
(
ししん
)
にして、この人道の
根柢
(
こんてい
)
をさえ忘却する事なくんば、ここに掲ぐる二大問題の解決の如きは誠に
易々
(
いい
)
たるのみである。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
錚々
(
そうそう
)
たる土木家である増田長盛や、
長束
(
ながつか
)
正家なんかが共同でやった仕事だから、姑息な小田原城の将士の度肝を抜くことなんか、
易々
(
いい
)
たるものだったと思う。
小田原陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
書画、
篆刻
(
てんこく
)
、
等
(
とう
)
を愛するに至りしも小穴一游亭に負ふ所多かるべし。天下に
易々
(
いい
)
として古玩を愛するものあるを見る、われは唯わが
性
(
さが
)
の
迂拙
(
うせつ
)
なるを
歎
(
たん
)
ずるのみ。
わが家の古玩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
この三箇条は、あるいは砲銃を用い、あるいは刀槍を用ゆ、各々その便に従うべし。ここにおいてか彼れ曰く、「勝を制するの
易々
(
いい
)
たる
固
(
もと
)
より毛を
燎
(
や
)
くが如し」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
これいわゆる
追風
(
おいて
)
に
帆
(
ほ
)
を
懸
(
か
)
け、流を下るにモーターを使うがごときもので、是ではもはや相手方に口をきかせる余地もなく、その功を収むるの
易々
(
いい
)
たるは当然のように思われる。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
易々
(
いい
)
たる仕事ではあるが、すべてにおいては、この事業、すなわち、駒井甚三郎の独力になるこの西洋型の船の模造は、模造とはいうが、事実は創造よりも難事業になっている。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何しろ口が旨いから、空疎な講義の内容も、十分
胡麻化
(
ごまか
)
されるし、学者仲間には兎も角、世間に対しては、いかにも学殖のある篤学の士のように見せかける事は、
易々
(
いい
)
たる事である。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ゴリラは憤怒すれば、一匹でもこれくらいの大あばれは
易々
(
いい
)
たるものであった。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
料理に一番大事なことといえば、それは材料のよしあしを
識
(
し
)
ることである。材料のさかな、あるいは
蔬菜
(
そさい
)
など、優れてよいものを用いる場合は、料理は、おのずから
易々
(
いい
)
たるものである。
味覚馬鹿
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
僕のものにするのは
易々
(
いい
)
たることだ
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
「いや、おそらくは、御主君には、ほかに深いお考えあってのことだろう。
何条
(
なんじょう
)
、
易々
(
いい
)
として、信雄卿と秀吉の
野合
(
やごう
)
を御承諾あるものか」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ピロン冷然として答ふらく、「
易々
(
いい
)
たるのみ。君自身の
讃辞
(
さんじ
)
を作らば可」と。当代の文壇、聞くが如くんば、党派批評あり。売笑批評あり。
挨拶
(
あいさつ
)
批評あり。雷同批評あり。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
取る物も取り合えず、城をほとんど空にして馳せ向った。我計略図に当れりと、暗のうちに
北叟笑
(
ほくそえ
)
んだのは元康である。このすきに
易々
(
いい
)
として兵糧を大高城に入れてしまった。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
恐らくはまた二億五千万くらい貸す事となるであろう。列国は担保さえあれば幾ら金を貸しても宜いのだ。塩税にしてすでに然りとすれば、支那より六億や七億の税を取るは
易々
(
いい
)
たる事と思う。
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「なるほど、その御手練では、戦場で人間を、槍にかけて飛ばすくらいは、
易々
(
いい
)
たるものでござろう。恐れ入った力だ……」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よく聞け。そもそも、われらの望みとは、そんな
易々
(
いい
)
たる道ではあるまい。第一この国では、逆賊朝敵とよばれたら大事を
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠く離れて山伏姿の何名かが、それを見護っていたが、彼を彼と知って、近づこうとする刺客があれば、目的は
易々
(
いい
)
たるくらいな程度であった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
汗を惜しまず体力の精かぎり働けば、一日のうちに平常の半月分の稼ぎをすることも
易々
(
いい
)
たるものだ。うわさを聞いて
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それはじつに
易々
(
いい
)
たるものだ。ぼくの足だって落ちのびて行ける。東は、牟礼、志度路、すこし行けば、山岳地へ入り込めよう。西は、坂田、鷺出方面へ。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玄徳が降伏せねば、民心のうらみは玄徳にかかりましょう。そして
荊州
(
けいしゅう
)
のお手に入るのは目に見えている。すでに荊州の経略が成れば、呉の攻略も
易々
(
いい
)
たるもの。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここの声は、将軍家をうごかし、副将軍をのぞき、政治をゆがめることなど、
易々
(
いい
)
たるものであった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子まで生ませた女を品物のように
易々
(
いい
)
として他の男へ譲るという高氏も憎いし、また、女の生命を、おもちゃか何ぞのようにしか見ていないあの道誉はなおのことだった。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「絶好のときだ。甲府の一門宿将は、おそらく暗夜に燈火を失うたような滅失の底に沈んでいるにちがいない。いま大挙して征けば、彼の全領土を一朝に覆すは
易々
(
いい
)
たるもの」
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど半兵衛重治は、信長のゆるしに、
易々
(
いい
)
として、甘んじるふうはなかった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子どもへ菓子を
撒
(
ま
)
いてやるより
易々
(
いい
)
たる問題であったろう。それも徳川家の金でするのではない。栄養過多な外様大名に課役させて、程よく、彼らの力をも減殺させながら効果を挙げてゆく。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あれほどなお覚悟を以てするならば、叡山の
行宮
(
あんぐう
)
から、直接、吉野へ入ることは
易々
(
いい
)
たるものであったはずだ。やはり尊氏との政治的交渉に、大きな御期待を寄せていたからにほかならない。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秀吉たるものも、この主君の
歓待
(
かんたい
)
に、どうして
易々
(
いい
)
と甘んじていられよう。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とはいえ、こことても、決して
易々
(
いい
)
として、進み得たわけではない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは、あなたなら
易々
(
いい
)
としてお出来になるはずでしょう
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さすれば、
賊巣
(
ぞくそう
)
の根絶は、
易々
(
いい
)
たるものにござりまする
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「しかし、
易々
(
いい
)
とは渡しもせず、うけ取れもせまい」
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その作戦
企図
(
きと
)
は、
易々
(
いい
)
とは進んでいなかった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
易々
(
いい
)
たることであろうと思う。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
易
常用漢字
小5
部首:⽇
8画
々
3画
“易々”で始まる語句
易々諾々