教場きょうじょう)” の例文
ぼくたちは、教場きょうじょうなかで、おそわるよりも、そとて、広場ひろばあそんだり、うたったりするときのほうがおおかった。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
昼御飯がすむとほかの子供達は活溌かっぱつ運動場うんどうばに出て走りまわって遊びはじめましたが、僕だけはなおさらその日は変に心が沈んで、一人だけ教場きょうじょう這入はいっていました。
一房の葡萄 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
私は教場きょうじょうで先生が名簿を呼ぶ時に、Kの姓が急に変っていたので驚いたのを今でも記憶しています。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼女は喜んで日々弁当持参べんとうじさんで高樹町から有楽町ゆうらくちょうのミシン教場きょうじょうへ通ったが、教場があまり騒々そうぞうしくて頭がのぼせるし、加上そのうえミシンだいの数が少ないので、生徒間に競争がはげしく
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
折々おりおり新聞に伝えられるぼう学者は何千円の俸給ほうきゅうを取るが、毎日教場きょうじょうのぞみ授業するとき、たまたま生徒が何か質問をすると、それはむずかしい、字引じびきを引いてもちょっと分かるまい
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
二階を教場きょうじょうにして、弟子に手習をさせた頃、大勢の児童が机を並べている前に、手にむちを執って坐し、筆法をただすに鞭のさきを以てゆびさし示し、その間には諧謔かいぎゃくを交えた話をしたことは、前に書いた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一時いちじがやがやとやかましかった生徒達はみんな教場きょうじょう這入はいって、急にしんとするほどあたりが静かになりました。僕はさびしくって淋しくってしようがないほど悲しくなりました。
一房の葡萄 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
秀吉ひできち教場きょうじょうはいると、をたえず教師きょうしかおにとめて、ほかへうごかそうとしませんでした。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてそのは、ほかの生徒せいとらがいさんでかえってしまったにかかわらず、ひと教室きょうしつのこっていたのです。ひろ教場きょうじょうなかに、ただ自分じぶんひとりぎりになるときゅう四辺あたりさむく、わびしくなってえました。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、小声こごえせつたのんだのでありました。すずめはさながらこの依頼たのみけたように、やがて小声こごえにないて、いずこへかってしまいました。するとほどなく先生せんせいがこの教場きょうじょうはいってきました。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)