推薦すいせん)” の例文
……その……何んとかいったなあもう一人の養子は……何んとかいった、それにわしが推薦すいせんしたのがもとになったんだ。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
政府はこれを任命しないとしても、これを推薦すいせんするのであるから自分の国民をはずかしめるような人を出すはずはない。
真の愛国心 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そうした願書は、私が推薦すいせんをするなら、なんとか聞き入れられることでしょうが、私はそんなことはしませんよ。
(新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
「そうだ、ぼくらは偉大いだいな首領をいただいて幸福だ、ぼくはいまドノバン君を大統領に推薦すいせんしたいと思う」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「このさい、伊豆伍のほうの油御用あぶらごようはお出入りを差しとめ、いずくか然るべき——それにつけて、拙者推薦すいせんいたしたきは、下谷長者町の筆屋幸兵衛なるもの……」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ああよいお覚悟じゃ。時に、正しい修行には正しい師匠を取らねばならぬ……わしがその正しい剣道の師匠を其許に推薦すいせんする、その人について修行なさるがよい」
と新太郎君は商売柄推薦すいせんした。しかしそれがもとで洋装の話が始まって、二夫婦洋行の問題は立ち消えになってしまった。相婿が二人がかりで長いこと調子を合せた後
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
もっとも自分で運動した訳でもないのですが、この学校にいた知人が私を推薦すいせんしてくれたのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これをむものもそのこゝろしてよまざるからず、涙香ルイコウ探偵小説たんていせうせつごとぞくよろこばすものにてなき由を承知しようちして一どくせばみづか妙味みようみ發見はつけんすべきなり、余はこのしよ讀者どくしや推薦すいせんするをはばからず
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
「その心臓に負けて、いやいやながら全員一致いっち推薦すいせんをやったというわけか。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それは玉藻を采女に推薦すいせんする内儀であった。師道にももちろん異存はなかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
不肖何ごともわきまえないわたくしが市民諸君の推薦すいせんによって市会議員に出ました以上は、わたくしも男でありますから、なるほど大きな傘の下に居れば雨には濡れないかも知れませんが
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
兄が東京で商売をして居るので、彼女も出京してある家に奉公中、逗子で懇意になった老人夫婦の家の女中から高樹町の家の事を聞き込み、みずか推薦すいせんして案内もなく女中に来たのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
が、芸苑げいえんの春はともかく南宋画時代を出現した。その中に、八十歳を超えた李唐も画院に召されて都へ帰っていた。またその李唐の推薦すいせんに依って、蕭照なる一作家もあらたに画院の一員に列していた。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子羔しこうだ。孔門の後輩で、子路の推薦すいせんによってこの国の大夫となった・正直な・気の小さい男である。子羔が言う。内門はもうしまってしまいましたよ。子路。いや、とにかく行くだけは行ってみよう。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
衆議しゅうぎ一決のうえはいよいよ貨物運搬かもつうんぱんにとりかからざるをえない。富士男の推薦すいせんでいっさいの工事は仏国少年バクスターに一任し、一同はその指揮しきにしたがうことにした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
幸い今申した筆屋幸兵衛なる律儀者りちぎものを探し得ましたので、これを、伊豆屋の代りに推薦すいせんいたした次第、然るに、商家に頼まれたの何のと、心外の至り、山城、近ごろ迷惑に存ずる
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
中にも教会の方などには聞き苦しいとおもうほどひどい評判をなさるのもあって、どうして星野さんが、あんな人を推薦すいせんなさったんでしょうと、星野さんまで疑うらしい口ぶりでした。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
公はこれを聞かれて非常に怒られ、西郷の帰り次第、何人なにぴとでも差支さしつかえなきゆえ、手討てうちにせよとの命令を下した。これを聞いた大久保おおくぼはそもそも西郷を久光ひさみつ公に推薦すいせんしたのは自分である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「画工はよしてくれ。可哀そうに、これでも帝展の推薦すいせんだぜ」
変人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と、推薦すいせんしてかなかった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで十五少年の父母は醵金きょきんをしてケートのために閑雅かんがな幼稚園を建て、その園長に推薦すいせんした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
昨日も話した通り、君から先ず秀子さんを推薦すいせんするんだ。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
最初その会社へ私を推薦すいせんしてくれた先輩の三好さんは
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)