掠奪りやくだつ)” の例文
部落中の者をかり集めて掠奪りやくだつに来たのです。彼等は沖へ去つてゆく舟に向つて、いろいろな叫び声をなげかけました。
アフリカのスタンレー (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
俊吉は信子に葡萄酒をすすめながら、「人間の生活は掠奪りやくだつで持つてゐるんだね。小はこの玉子から」
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その活動力くわつどうりよくうしなつてあひだは、如何いかんともすること出來できません、吾等われらいさぎよく其處そこ身命しんめいなげうこと露惜つゆをしまぬが、其爲そのために、海底戰鬪艇かいていせんとうていつひ彼等かれら掠奪りやくだつされて御覽ごらんなさい
おせいの親父おやぢ義兄にいさんが見えて、おせいを引張つて帰つて行つたのは、たしか五月の三十日だと思ふ。その時も、大変なんでしたよ。僕にはもと/\掠奪りやくだつの心はないんだ。
椎の若葉 (新字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
名誉とは何事です、誰の名誉に関はるのです、殺人と掠奪りやくだつ稼業かげふにする汝等なんぢらに、何で人間の名誉がありませうか、——女性によせい全体の権利と安寧との為めに、必ず之を公にして、社会の制裁力を
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
彼等かれら日本帝國につぽんていこくために、いまかゝ戰艇せんてい竣成しゆんせいしたとつたら、けつしてもくしてはりません、必定ひつぜう全力ぜんりよくつくして、掠奪りやくだつ着手ちやくしゆしませうが、其時そのときうごいては天下てんか無敵むてきこの電光艇でんくわうてい
富資とみが年々増殖して貧民が歳々増加する、是れ程重大なる不道徳の現象がありますか、御覧なさい、今日の生活の原則は一に掠奪りやくだつです、個人は個人を掠奪して居る、国は国を掠奪して居る
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
その息子むすこ大仕事おほしごとつたのはまさしく弦月丸げんげつまる襲撃しふげきして、その貨財くわざい掠奪りやくだつする目的もくてきだなと心付こゝろづいたとき彼女かのぢよせつその非行ひかういさめたさうですが、もとよりおもとゞまらうはづはなく、その暴惡ぼうあくなる息子むすこ