批難ひなん)” の例文
『あいつは他國人たこくじん交際かうさいしてゐる。』『あのをとこ他縣人たけんじん懇意こんいにしてる。』そしてそれがいつも批難ひなん意味いみふくんでゐた。
いたわり過ぎるという批難ひなんがあった時何をいうぞ師たる者が稽古をつけるには厳しくするこそ親切なのじゃわしがあの児を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
且つまた、彼等の隣人さへも、全然、彼等を批難ひなんしない。かういふ国に健全なる道徳的感情が存在するといふことは、私の信じられぬところである。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
すなわち人間の非巣箱主義の巨魁きょかいであったが、しかも鳶の居たるばかり何ほどの事かあらんなどと、一旦いったん批難ひなんをした法師ばらも、後にその目的が池の蛙の保護にあることを知ってを折った。
真面目しんめんもくならざる宗教家しふけうかとは、直接ちよくせつ間接かんせつ外国ぐわいこく伝道でんだう会社ぐわいしや補助ほじよあづかり居りながら外国ぐわいこく宣教師せんけうし悪口あくこう批難ひなんするものなり、社界しやかい先導者せんだうしやを以て自らにんじ居りながら社界しやかい引摺ひきづられつゝ行くものなり
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
舊藩きうはん因縁いんねん執着しふちやくする元氣げんき豪傑連がうけつれんや、ちひさな愛國者達あいこくしやたちが、墮落だらくしたコスモポリタンを批難ひなんするのであつた。
「まあ、あんた、綺麗な体しててんなあ。」——わたしはなんや、こんな見事な宝持ちながら今までそれ何で隠してなさったのんかと、批難ひなんするような気持でいいました。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しか其頃そのころはもうさういふこと他人たにん批難ひなんするのは馬鹿々々ばか/\しいといふ意見いけんつてゐる學生がくせいかたおほかつた。
兄の代になるととかくの批難ひなんが出て最大限度月に幾何いくばくと額をきめられそれ以上の請求には応じてくれないようになった彼女の吝嗇もそういう事が多分に関係しているらしい。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)