はらひ)” の例文
旧字:
「いけません。おはらひでなきやアあとへおかへンなさい。」とおつしやつた。先生せんせいめうかほをしてぼんやりつてたがすこしむきになつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おびあひだから紙幣入さついれを出して幾許いくらはらひをしてかへる時に、重い口からちよいと世辞せじつてきましたから、おほきに様子やうすよろしうございました。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あの国境でね、あなたが取られていらしつたはらひ増しが余り高いのね、二等の切符を別に買はせたのぢやないかしら。」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
夫から今日こんにちに至る迄与次郎はかねを返さない。三四郎は正直だから下宿屋のはらひを気にしてゐる。催促はしないけれども、どうかして呉れればいがと思つて、日をすごすうちに晦日みそか近くなつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
は、強情がうじやう不敵ふてきやつ。さて、入替いれかはつて按摩あんまがシツペイのばんると、つてぼんはらひにありつきました、と白銀はくぎんまい頂戴ちやうだいことめてかゝつて
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
去年の末に幸ひ美奈子の長篇小説がなにがし新聞社へ買取られたので、其の稿料で大崎村の諸はらひとゞこほりやら麹町の新居の敷金やら引越料やらをやつすます事が出来た。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「でもいわ。旅つてそんなものでせう。実際ね、彼方此方あちこちはらひ増しをして二等に乗り替へるのに三等の廻遊切符なんか初めから買ふのがもういけないんだわ。」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)