打砕うちくだ)” の例文
旧字:打碎
舊記によると、佛像や佛具を打砕うちくだいて、そのがついたり、金銀のはくがついたりした木を、路ばたにつみ重ねて、たきぎしろに賣つてゐたと云ふ事である。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
山間僻地へきちに多年潜む排外思想の結果、若き女の血に燃えるのを、脅威を以て抑圧していた、その不合理を打砕うちくだかせようと、直芳は熱誠を以て説き入った。
壁の眼の怪 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
作「不埓至極の奴だ、おのれ気が違ったか、飛んだ奴だ、一枚毀してさえ指一本切るというに、二十枚箱諸共に打砕うちくだくとは……よし、さ己が首を斬るから覚悟をしろ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いつか打砕うちくだく時は大力の男くひなどにてしたゝかに打て、やう/\をれおちてくだけたる四五尺なるを、わらべらがうちよりて手遊てあそび雪舟そりにのせて引きありきあそぶもあり。
ほかの若者にまじって、見向きもせず、打砕うちくだかれた大玄関へ槍を向けたまま屋内へ躍りこんで行った。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無残むざんや、なかにもいのちけて、やつ五躰ごたい調とゝのへたのが、ゆびれる、乳首ちくびける、みゝげる、——これは打砕うちくだいた、をのふるつたとき、さく/\さゝらにざう
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
体の骨がばらばらに打砕うちくだかれたと思ったとき、ずしんと腰の坐骨を大地について坐っていた。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荷足の仙太は提灯の燃上る火影に熟々つく/″\と侍の姿を見済まして板子を取直し、五人力の力をきわめて振りかぶり、怪しい侍の腰のつがいねらい、車骨くるまぼね打砕うちくだこうという精神でブーンと打込みますると
それに粗相でゞもある事か、先祖より遺言状の添えてある大切の宝を打砕うちくだき、糊付にして毀さん振をして、箱の中に入れて置く心底しんていが何うも憎いから、指を切るのがいやなれば頬辺ほッぺたを切って
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
亥「さア人面獣心にんめんじゅうしん、逃げるなら逃げて見ろ、五体を微塵みじん打砕うちくだくぞ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)