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恰
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あた
ふりがな文庫
“
恰
(
あた
)” の例文
私は彼の右手が高く、ゆるやかな動きをみせて、
恰
(
あた
)
かも舞台の上に立つ名優の所作のごとく、同じ位置を
幾度
(
いくた
)
びとなく旋廻するのを見た。
早稲田大学
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
その状
恰
(
あた
)
かも仏教累世の仇敵たる史学が一朝その方向を転じて我が味方となりたるが如く感ぜられ、仏教家なるもの
頗
(
すこぶ
)
る得意の色を現はし
仏教史家に一言す
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
、
小竹主
(著)
それは
恰
(
あた
)
かもかの
仏蘭西
(
フランス
)
の植木家の手になるピラミツド形、車輪形或は花環形の奇異なる草木を
徒
(
いたず
)
らに連想せしむるのみで
婦人解放の悲劇
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
理想主義者とは
恰
(
あた
)
かも重き鉄槌を振りまはし義務と云ふ概念の砂礫を道路に打ち込み以て他人の旅行を容易ならしめんと企てるが如き人である。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
そして彼女達の手にある小さい本と比べてゐる樣子は、
恰
(
あた
)
かも飜譯のときに字引でも引いてゐるやうに見えるのであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
恰
(
あた
)
かも我々に最初から弾圧が無いかのような、又はそれを全く予想していないかのような、敗北的な見地に立っている。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
靄
(
もや
)
が眼にかかった、二人は
恰
(
あた
)
かも舟を通りぬけて沈み、海を通りぬけて沈み、海の底の無限の空虚を通りぬけて沈み
かなしき女王
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
極めて荘重な足取で、半歩ほど前に進み出て、
恰
(
あた
)
かも神前で何事かを誓うかのように、両手を前に握り合せつつ私を見下した。暗示的な、ゆるやかな口調で云った。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
頬は、肺病患者によくある病的紅潮を呈し、そして鼻の両側に出来た深い
凹
(
くぼ
)
みは、
恰
(
あた
)
かも止め度ない涙のために、そこのところだけ
擦
(
す
)
り
耗
(
へ
)
ったかと思わせるのであった。
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
それに
春浪
(
しゅんろう
)
冒険将軍が都合で帰京したので、
恰
(
あた
)
かも百千の味方を失ったような心地だ。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
……それは
恰
(
あた
)
かも、死自体のもつ意志のやうに思はれた。まげがたく、また甘えがたい冷めたさだつた。それゆえむしろ、その冷めたさに凭れることが、彼を休息させるのだつた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
或夜翁は、
忽然
(
こつぜん
)
として悟ったという。……その日は
恰
(
あた
)
かも冬で雪の降る日であった。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
うち見るところ、
恰
(
あた
)
かも両手両足を断ち斬られた
素裸
(
すはだか
)
の美女の首付きの胴体である。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
むくむくと生えた
生垣
(
いけがき
)
のつづいた路は、まるで天井のないトンネルのように暗かったけれど、空には、
恰
(
あた
)
かも
孔
(
あな
)
だらけの古ブリキ板を、太陽に
翳
(
かざ
)
し見たように、妙にチカチカと瞬く星が
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
貸さる我が羽織の上へ重ね
被
(
き
)
ても大きければ向ふ山風に吹き孕みて
恰
(
あた
)
かも
母衣
(
ほろ
)
の如し
後
(
あと
)
の馬の露伴梅花の兩子いろ/\に
見立
(
みたて
)
て
嘲
(
あざ
)
み笑ふ
此
(
こゝ
)
は信濃の
山中
(
やまなか
)
なり
見惡
(
みにく
)
しとて
寒
(
さぶ
)
さにかへられんや左云ふ君等の顏の色を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
下への混雑湧くがごとき中に黒田伯のみは断然として毫も動かるるの色はなく、
恰
(
あた
)
かも不動明王が猛火を背負って泰然自若たるの色あり。大隈伯もまた猛火の中に纏を
早稲田大学
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
恰
(
あた
)
かも近づく者を警戒でもするように、一しきり屍体の周囲を飛びまわってから、やがてじっと羽を据えていたが突然ブルダンの蒼ざめた唇めがけてまっすぐに飛んで行った。
青蠅
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
ところがその
中
(
うち
)
に、だんだんと落ち付いて来ると、時
恰
(
あた
)
かも大唐朝没落の前奏曲時代で、兇徴、
妖孼
(
ようげつ
)
、
頻々
(
ひんぴん
)
として起り、天下大乱の兆が到る処に横溢しているのに気が付いた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
遠く望めば山の形
恰
(
あた
)
かも
円筒
(
まるづつ
)
を立てたるがごとく、前面は直立せる千丈の絶壁、上部は
鬱蒼
(
うっそう
)
として樹木生茂っている。
一見
(
いっけん
)
薄気味の悪い魔形の山、お
伽噺
(
とぎばなし
)
の中にある怪物の
棲
(
す
)
む山である。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
或る芸術品に対した時、其の作品から吾人は何等の優しみも、若やかな感じも与えられず、
恰
(
あた
)
かも砂礫のような、乾固したものであったなら、其れは芸術品としての資格を欠くと謂い得る。
若き姿の文芸
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
外に出るや否や、笠原は
恰
(
あた
)
かも昨日からの心配事を一気に吐き出すように
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
しかも
尚
(
なお
)
この偉大な先達が、
恰
(
あた
)
かもそれが最も斬新な、正しい音楽であるかのように、全く反省するところなしに単なる描写音楽を、例えば「西風の見たところ」、「雨の庭」と言った類いの作品を
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
また快活に語って
恰
(
あた
)
かも神々しい天の光を認めたように浮き立つ場合がある。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし、今、私の前で広場の正面に列をつくり、スクラムを組んで
恰
(
あた
)
かも組織された軍隊のように整然と隊伍を整えている学生の表情は一定の法則を保って硬化してしまっているように見える。
早稲田大学
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
只の一度も
争論
(
いさかい
)
などしたことはなかった。そうした交情は、彼女にとっては
恰
(
あた
)
かも終身年金の支払をうけているようなもので、それが突然に終りをつげるというようなことは夢にも思えなかった。
フェリシテ
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
恰
漢検準1級
部首:⼼
9画
“恰”を含む語句
恰好
恰度
不恰好
背恰好
年恰好
恰当
脊恰好
恰幅
無恰好
相恰
四十恰好
格恰
恰形
恰腹
形恰
無格恰
悧恰
恰顔斎
脊丈恰好
身丈恰好
...