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恭々
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うやうや
ふりがな文庫
“
恭々
(
うやうや
)” の例文
食卓に向い合って、金博士が、
王水険老師
(
おうすいけんろうし
)
を
恭々
(
うやうや
)
しく
拝
(
はい
)
しながらいった。それは老師にとって、いささか皮肉にも響く言葉であった。
大使館の始末機関:――金博士シリーズ・7――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼らの尊敬しないものは何があったろう? その番組にたいしても、酒杯にたいしても、自分自身にたいしても、みな
恭々
(
うやうや
)
しかった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
さも窮屈らしく
恭々
(
うやうや
)
しげな恰好をして坐っていたのは、第八、百人隊長のブブリウス・アクヴールスという
喘息
(
ぜんそく
)
持で
赭
(
あか
)
ら顔の肥満漢で
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
婆さんは胸の前でいくつも十字をきりながら裁判官の後の壁にかかってる大きいレーニンの肖像へ向って
恭々
(
うやうや
)
しく辞儀した。
ズラかった信吉
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
土饅頭を思はせるやうな円まつちい顔を一種
恭々
(
うやうや
)
しげな面持でかしこまつてゐるのを、その厚いふくれた唇が不器用な微笑を浮べてゐるのを見た。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
▼ もっと見る
そうして私たちの
虔
(
つつ
)
ましく取り囲んでいるこの卓子は、恐らく殿下の侍従たちの額が
恭々
(
うやうや
)
しく集められたことであろう。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
神社や学校で
恭々
(
うやうや
)
しく買上げる手筈になっているではないか! それをまあ、
選
(
よ
)
りにも選って!——と私は、その時芸術家の感興を
弁
(
わきま
)
えぬ村人達から
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
邸前に見張をしていた制服巡査は寒そうに肩をすぼめていたが、署長を見ると、急に直立して、
恭々
(
うやうや
)
しく敬礼した。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ここで今までの雛妓らしい所作から離れてまるで生娘のように技巧を取り払った顔付になり、わたくしを長谷の観音のように
恭々
(
うやうや
)
しげに高く見上げた。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「さあ、参りましょう。」海蛇は
白髪
(
はくはつ
)
を
振
(
ふ
)
って
恭々
(
うやうや
)
しく申しました。二人はそれに続いてひとでの間を通りました。
双子の星
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
五十日後でなければ、それがふたたび開かれることがないであろうことを知っていた悟浄は、睡れる先生に向かって
恭々
(
うやうや
)
しく頭を下げてから、立去った。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
領事館へ挨拶に行けば、
英吉利
(
イギリス
)
の王様の写真などが
恭々
(
うやうや
)
しく飾ってあって、まるで
倫敦
(
ロンドン
)
のような気持になる。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自動車が走り出すと、竜太郎は、むしろ、
恭々
(
うやうや
)
しくというほどの手つきで、先刻の写真を取り出した。
墓地展望亭
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
江ノ島の寺には沢山宝物があって、坊さん達が
恭々
(
うやうや
)
しくそれを見せる。宝物には数百年前の甲冑や、五百年前の金属製の鏡で、その時代の偉い大名が持っていたもの等がある。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
必ず
恭々
(
うやうや
)
しく拝礼し、ジャランジャランと大きな鈴をならす綱がぶらさがっていれば、それを鳴らし、お
賽銭
(
さいせん
)
をあげて、暫く瞑目最敬礼する。お寺が何宗であろうと変りはない。
日本文化私観
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
老栓は片ッ方の手を薬鑵に掛け、片ッぽの手を
恭々
(
うやうや
)
しく前に垂れて聴いていた。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
巣鴨から帰って、居間に入った時、敷居に両手を突いて、奈世は
恭々
(
うやうや
)
しく
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
この事件で一番皮肉なのは、僕がその翌日二十円の特別賞与を、
恭々
(
うやうや
)
しく社長から編集局長の手を通して渡されたことである。無論その時は、僕は、もう良心の
呵責
(
かしゃく
)
も何も感じはしなかった。
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
すると谷が
恭々
(
うやうや
)
しく礼をするような身構えをして浅野の顔を見あげた。
風蕭々
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
彼はこの
恍惚
(
くわうこつ
)
たる悲しい喜びの中に、
菩提樹
(
ぼだいじゆ
)
の念珠をつまぐりながら、周囲にすすりなく門弟たちも、眼底を払つて去つた如く、
唇頭
(
しんとう
)
にかすかな
笑
(
ゑみ
)
を浮べて、
恭々
(
うやうや
)
しく、臨終の芭蕉に礼拝した。——
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、式部官の一人が
恭々
(
うやうや
)
しく訊ねたのである。
人外魔境:10 地軸二万哩
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ステパン・ステパノヴィッチは、先ずダーリヤの手を執ってその甲に
恭々
(
うやうや
)
しく接吻し、次いでマリーナにも同じ挨拶をした。
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それらの傑作の上におのれの小さな愚作を
恭々
(
うやうや
)
しくつみ重ねながら、巨匠の考えを補ってるのだと思い込んでいた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
着換えをすますと彼は博士の前に出て
恭々
(
うやうや
)
しく三拝九拝の礼を捧げ、
踵
(
きびす
)
をかえして、部屋を
出
(
い
)
でんとすれば、何思ったか金博士は、急にうしろから
呼
(
よ
)
び
留
(
と
)
めた。
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一通り中の設備を見てからネネムは警察長と向い合って一つのテーブルに座りました。警察長は新聞のくらいある
名刺
(
めいし
)
を出してひろげてネネムに
恭々
(
うやうや
)
しくよこしました。見ると
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
角かくしの重い首をうなだれて入って来た花嫁に先立って、いくつもの箱を重ねた島台が
恭々
(
うやうや
)
しく運ばれた。それは、花嫁からの土産であった。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それだのに、朝になると、必ず詰襟の少年が、字の書いてある原稿紙を取りに来るのである。少年は梅野十伍の女房に
恭々
(
うやうや
)
しく敬礼をして、きっとこんな風に云うに違いない。
軍用鼠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「広告はいやだ。音楽さえよければ、それで広告になるはずだ。」本屋はクリストフの意志を
恭々
(
うやうや
)
しく尊重した。そして店の奥に書物をしまい込んだ。それはりっぱに保存されていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
みんなまっ黒な長い服を着て、
恭々
(
うやうや
)
しく礼をいたしました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
泰造は、多計代のたのみのままに、銀色の錦の包みものを両手で、
恭々
(
うやうや
)
しくそこにのせた。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
帆村は別に怒りもせず、壺に手をかけて、逆にしたり、蓋をいじったりしていたが、やがて、
恭々
(
うやうや
)
しく壺に一礼をすると、手にしていた大きいハンマーで、ポカリと壺の
胴中
(
どうなか
)
を叩き割った。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
説教の木のとなりに居た
鼠
(
ねずみ
)
いろの梟は
恭々
(
うやうや
)
しく答えました。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
杉内アナウンサーは、マイクロフォンの前で、
恭々
(
うやうや
)
しく一礼をして下った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
帆村は
恭々
(
うやうや
)
しく頭を下げると、しびれのする脚を伸ばして立ちあがった。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
支配人は、
恭々
(
うやうや
)
しく手を出して、青年の帽子を受けとった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
恭
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
々
3画
“恭々”で始まる語句
恭々敷