急流きゅうりゅう)” の例文
あしもとのしたは、すぐ千じんのそことなって、急流きゅうりゅうしらぎぬをさくように、みだれちらばっているいしにつきあたって、しぶきをあげています。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
『ムタラ川の急流きゅうりゅうでは、水車すいしゃがまわりだしますよ。』と、婦人ふじんは言ったが、いらいらしてきたので、ほおは赤くほてってきた。
かみての急流きゅうりゅうのところ、それを村の人たちは滝といって、滝の下の淵をきれいなものとして、よこてに小さな石のほこらなどがまつってありました。
山の別荘の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
興聖寺の石門せきもんは南面して正に宇治の急流きゅうりゅうに対して居る。岩をり開いた琴阪とか云う嶝道とうどうを上って行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
いつもごみばかりのかわには、滔々とうとうとして急流きゅうりゅうがうなり、なみなみとみずがあふれて、そのうえ、いろんなものが、あとからあとからながれてくるからでした。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてすぐに、あわ立つ急流きゅうりゅうのまんなかの岩の上に、ガンたちが立っているのを見つけました。これでは、こんどもまた近づくことができないのです。でも、どうしてもあきらめることができません。
最後さいごに、かれは、このいしうえりて、みずみ、きしっているかえでのと、それにからんだむべのとを見上みあげたのであります。急流きゅうりゅうが、二ほんあらっていました。
谷間のしじゅうから (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、そらには、おそろしい、はげしいかぜいていました。ちょうのからだは、急流きゅうりゅうにさらわれたのように、あっと、おもうまもなく、とおく、とおく、ばされてしまいました。
ちょうと怒濤 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのは、すことも、また、はしわたすこともできないほどへだたりができて、しかも急流きゅうりゅうながされるように、おきほうほうへだんだんとはしっていってしまったのであります。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)