御運ごうん)” の例文
「いかなる名分めいぶんにせよ、大元帥たる御方が、その行宮あんぐうを捨て給うて、敵手に、あとの御運ごうんをゆだねられるからには、降参ときまッている!」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
右内は如何いか御運ごうんが悪いとて、八百石取のお身の上が、人も通わぬ山中さんちゅう斯様こん茅屋あばらやすまっておいでになるのか、お情ないと気の毒そうに上って来ました。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
殿とのこそは御一門の柱石ちゆうせき、天下萬民の望みの集まる所、吾れ人諸共もろとも御運ごうんの程の久しかれと祈らぬ者はあらざるに、何事にて御在おはするぞ、聊かの御不例に忌まはしき御身の後を仰せ置かるゝとは。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
右の通り御轉任ごてんにんにて八代將軍吉宗公と申上奉つる時に三十三歳なり寶永はうえい四年紀州家きしうけ御相續より十月とつき目にて將軍に任じ給ふ御運ごうん目出度めでたき君にぞありけるこれよつて江戸町々は申すにおよばず東は津輕つがるそとはま西は鎭西ちんぜい薩摩潟さつまがたまでみな萬歳ばんざい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
蜻蛉は御運ごうんでござりあした
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
蜻蛉は御運ごうんでござりあした
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
おつ成長せいちやうまし/\器量きりやう拔群ばつくんすぐ發明はつめいなれば加納將監夫婦ふうふひとへに實子の如くいつくしみそだてけるさて或日あるひ徳太郎君につきの女中みなあつま四方山よもやまはなしなどしけるが若君には御運ごうんつたなき御生おうまれなりと申すに徳太郎君御不審ごふしんおぼしめし女中に向ひ其方ども予が事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きくひとしく産後の血上り是もつゞきて翌朝よくあさ其若君の御跡したひ終にむなしく相果あひはてたりひとり殘りしばゝがかなしみ何にたとへん樣もなく扨も其後徳太郎樣には御運ごうん目出度めでたくましまし今の公方樣くばうさまとはならせ給ひたりされば娘のもち奉りて若君の今迄御無事にましまさば夫こそ天下樣の落胤おとしだねなれば此ばゝも綾錦あやにしき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)