彌生やよひ)” の例文
新字:弥生
されどもてん美人びじんんで美人びじんめぐまずおほくは良配りやうはいざらしむとかいへり、彌生やよひはなかぜかならずさそひ十五夜じふごやつきくもかゝらぬはまことにまれなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日は既に暮れ果てて、朧げながら照り渡る彌生やよひなかばの春の夜の月、天地を鎖す青紗の幕は、雲か烟か、た霞か、風雄のすさびならで、生死の境に爭へる身のげに一刻千金の夕かな。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ヘイ水揚ものも御座りましたが夫も大略あらかた結了かたづいて少のひまを得ましたより參りしわけも外ならず時も彌生やよひの好時節上野隅田すみだの花も咲出さきいで何處も彼所もにぎはふゆゑ貧富ひんぷを問ず己が隨意まゝ割籠わりごを造り酒器さゝへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
奧方の彌生やよひ樣はあばたで大嫉妬やきもちと來てるからたまらない。
彌生やよひついたち、はつ燕
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
彌生やよひのみ空と若き命
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
彌生やよひ小窓こまどにあがなひて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
彌生やよひをかけて夏草の
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
馴染なじみたがひに惡からず思ひ居たりしうち或時不動院どうゐん馴合なれあひ彼のお芳を盜み出し寺へかくまひ置しが其後彌生やよひ節句せつくとなりて庭にてお芳に田樂をやかせ法印始九郎兵衞其外土地の破落戸ならずもの五六人集り酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
尋る中彌生やよひの空も十九日子待ねまちの月のやゝ出ておぼろながらに差かゝるつゝみやなぎ戰々そよ/\吹亂ふきみだれしも物寂寞さびしく水音みづおとたかき大井川の此方のをかへ來かゝるに何やらん二ひきの犬があらそひ居しが安五郎を見るとひとしくくはへし物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)