幣帛へいはく)” の例文
で、三浦家みうらけではいつも社殿しゃでん修理しゅうりそのこころをくばり、またまつりでももよおされる場合ばあいには、かなら使者ししゃてて幣帛へいはくささげました。
これまではいわゆる両部混同で何の神社でも御神体は幣帛へいはくを前に、その後ろには必ず仏像を安置し、天照皇大神は本地ほんじ大日如来だいにちにょらい八幡大明神はちまんだいみょうじんは本地阿弥陀あみだ如来
また宇陀うだ墨坂すみさかの神に赤い色のたてほこを獻り、大坂の神に墨の色の楯矛を獻り、また坂の上の神や河の瀬の神に至るまでに悉く殘るところなく幣帛へいはくを獻りました。
巫女みこの持つてゐる様な小さな鈴玉がちりん/\と彼の手に鳴つて居た。やがて彼は床の間に、小さな幣帛へいはくを飾り、白米と塩とを其の前に供へて、稍〻やゝ久しく黙祷した。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
しておもう、混淪こんりんの二気、初めて天地の形を分つや、高下三歳、鬼神の数を列せず。中古より降って始めて多端をはじむ。幣帛へいはくを焚いて以て神に通じ、経文を誦して以て仏にへつらう。
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
故に定業じょうごうを転じ、長寿を求め、長寿を得るため、礼拝袖を連ね、幣帛へいはく礼奠れいてんを捧ぐる暇なし。忍辱にんにくの衣を重ね、覚道かくどうの花を捧げて、神殿の床を動じ、信心の心池水の如く澄ませたり。
自分にはこの寂しい海辺で命を落とさねばならぬ罪業ざいごうはないわけであると自信するのであるが、ともかくも異常である天候のためにはいろいろの幣帛へいはくを神にささげて祈るほかがなかった。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
黄金製の幣帛へいはく、諸珍宝、什器、社殿と共にことごとく咸陽かんよう一炬いっきょに帰す。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
よろしく京及び諸国をして天神地祇てんしんちぎ名山大川にはみづか幣帛へいはくを致さむべし。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
道庵一流の論法でおしきったはいいが、この案が通過すると共に、路傍の稲荷いなり荒神様こうじんさまにまで、いちいち幣帛へいはくを奉って行くから、その手数のかかること。気の短い同行の米友がかなりの迷惑です。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
幣帛へいはくはもとより漢語であり、その用法はあちらの古書に数多く見える。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
海河の神たちに悉く幣帛へいはくを奉り、わたしの御魂みたま御船みふねの上にお祭り申し上げ、木の灰をひさごに入れ、またはしと皿とを澤山に作つて、悉く大海にらしうかべておわたりなさるがよい
そこで驚き恐懼きようくして御大葬の宮殿にお遷し申し上げて、更にその國内から幣帛へいはくを取つて、生剥いけはぎ逆剥さかはぎ畦離あはなち・溝埋みぞうめ・屎戸くそへ・不倫の結婚の罪の類を求めて大祓おおばらえしてこれを清め