差出さしいだ)” の例文
甚だ忌々いま/\しく思へ共詮方せんかたなく勘定致し見るに元利十三兩二分外に時貸ときがしが六百文右の通りと文右衞門が前に差出さしいだしければ文右衞門は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これぎりむなしく相成候が、あまり口惜くちをし存候故ぞんじさふらふゆゑ、一生に一度の神仏かみほとけにもすがり候て、此文には私一念を巻込め、御許おんもと差出さしいだしまゐらせ候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
源助はもとより人がいからお國に奸策わるだくみあるとは知らず、部屋へ参りて孝助の文庫を持って参ってお國の前へ差出さしいだすと、お國は文庫のふたを明け
らに奇怪きかいなりしは仏国公使の挙動きょどうにして本来ほんらいその事件には全く関係かんけいなきにかかわらず、公然書面を政府に差出さしいだ
ややありて戸を開き差出さしいだしたる得三の顔は、まなこ据って唇わななき、四辺あたりきっと見廻して
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お鍋女郎じょろうふすま彼方あなたから横幅よこはばの広い顔を差出さしいだして、「ヘー」とモッケな顔付。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
砧盤きぬたばんあり差出さしいだす灯の下に
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
たづね出さんと又々諸國しよこくへ手をまはされけれ共靱負の在家ありか少しも知ず其中そのうち西國へ差出さしいだされたる探索たんさくの者より靱負は泉州せんしうさかひにて入水じゆすゐせしと云事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
差出さしいだすを新三郎が手に取上とりあげて見ますれば、飯島の娘と夢のうちにて取交とりかわした、秋野に虫の模様の付いた香箱の蓋ばかりだから、ハッとばかりに奇異きたいおもいを致し
顔色がんしょく土のごとく恐怖せる洋妾ラシャメンを励まして、直ちにもららしめたる金貨百円を、三郎の前に差出さしいだせば、三郎はかずを検してこれを納め、時計を返附して応接室を立出で、待構えたる従者を呼べば
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
申立しかばある時はまづ是迄これまでにて平左衞門が罪の次第落着らくちやくに致すべしとて嘉川一けんの者共口書こうしよ申付られ落着の調しらべを老中方へ差出さしいだされしとなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
仮令たとい君父くんぷの命たりとも毒薬調合はせぬのがおきて夫故それゆえ医者に相成る時は、其の師匠へ証文を差出さしいだすとる医に承りて承知致して居ります、何故なにゆえに拙者が毒を盛りましょう、毛頭覚えない事
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
無雑作に差出さしいだして、海野の手に渡しながら
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
無雑作むぞうさ差出さしいだして、海野の手に渡しながら
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)