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ふりがな文庫
“
実体
(
じってい
)” の例文
旧字:
實體
今にもう一人ここへ来て寝るそうじゃが、お前様と同国じゃの、若狭の者で
塗物
(
ぬりもの
)
の
旅商人
(
たびあきんど
)
。いやこの男なぞは若いが感心に
実体
(
じってい
)
な
好
(
よ
)
い男。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雇
(
やと
)
うことにしていたがてる女が採用されてからは
実体
(
じってい
)
なところが気に入られ大いに二人の信任を得てそのまま長く奉公をし
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ずっと京橋の
金助町
(
きんすけちょう
)
におりまして、麹町にまいりましたのはついこの春。酒も飲まず、
実体
(
じってい
)
な男というきり、くわしいことは存じませんです」
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
中は大体八五郎が説明してくれた通り、この辺は
湯女
(
ゆな
)
なども置かず、本当の銭湯一式で、
実体
(
じってい
)
に商売をしております。
銭形平次捕物控:033 血潮の浴槽
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
妻君も共に笑い「あの人の大食は
名代
(
なだい
)
です。しかしあの人は大食の外に悪い所が少しもありません。正直でおとなしくってそうして心が
極
(
ご
)
く
実体
(
じってい
)
ですよ」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
野田の祗園祭でございまして、亀甲万の
家
(
うち
)
へ奉公を致して居りまする布卷吉と云うは、今年十二歳ではありますが、至って
温和
(
おとな
)
しい
実体
(
じってい
)
ものでございます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まことに
実体
(
じってい
)
な忠義者で、主人の子どもを大切に致してくれますので、
内外
(
うちと
)
の評判も宜しゅうございます
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
実体
(
じってい
)
そうなその爺さんは、
上
(
あが
)
り
框
(
かまち
)
のところに腰をかけ込んで、
脱
(
ぬ
)
け
目
(
め
)
のない目で奥口を
覗
(
のぞ
)
き込んだ。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
顔なじみの出方に迎えられて導かれていった
桟敷
(
さじき
)
は、花道寄りの恰好な場所でした。——下総から来た小芳の兄というのは、打ち見たところ先ず三十五六。小作りの
実体
(
じってい
)
そうな男です。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
外の二人とは、一人は「
敵役
(
かたきやく
)
」で売った菱川、一人はかれと同じ三枚目。……といっても、かれにくらべれば芸の幅がやゝ広く、ときには
実体
(
じってい
)
な爺さん役なんぞも器用にこなす鷲尾だった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「はい、今日は」といいながら寄って来たのは、
鉄縁
(
てつぶち
)
眼鏡をかけた半白の老人。村役場の
傭書記
(
やといしょき
)
、小学校の理科の先生、——そういった
実体
(
じってい
)
な人物。
ノンシャラン道中記:07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
下男とも、小使いとも、庭掃きとも、一人で兼ねている釜吉は、五十男らしい
実体
(
じってい
)
さで挨拶しました。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
というので恭太郎が土間へ下りてガラリと戸を明けると、丈助は一本差し、羽織を着て
実体
(
じってい
)
らしく
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お蔦 私より貴方は……そうね、お源坊が
実体
(
じってい
)
に働きますから、当分我慢が出来ましょう。
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小ぶとりに肥った
実体
(
じってい
)
そうな男で、お留やほかの人達の挨拶ぶりを見ても、それが徳蔵であることはすぐに判った。そのあとから山城屋の番頭の利兵衛と一人の小僧が付いて来た。
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そう言いながら、冗談らしく相手の袖を押えた平次、
咄嗟
(
とっさ
)
の間に見極めると、年の頃五十六七、
実体
(
じってい
)
らしい
老爺
(
おやじ
)
さんで、どう間違っても身投げなどをする柄とは見られません。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
長二郎は六年ほど
私
(
わたくし
)
店内
(
たなうち
)
に住居いたしましたが只の一度夜
宅
(
うち
)
を明けたことの無い、
実体
(
じってい
)
な辛抱人で、店賃は毎月十日前に納めて、時々釣は
宜
(
い
)
いから一杯飲めなぞと申しまして
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
心懸けの
好
(
い
)
い、
実体
(
じってい
)
もので、身が定まってからも、こうした御機嫌うかがいに出る志。お
主
(
しゅう
)
の娘に
引添
(
ひっそ
)
うて、身を固めて
行
(
ゆ
)
く
態
(
ふり
)
の、その円髷の
大
(
おおき
)
いのも、かかる折から頼もしい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宿は本所
相生町
(
あいおいちょう
)
の徳蔵という
魚屋
(
さかなや
)
で、ふだんから至極
実体
(
じってい
)
な人間でございます。
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此の
方
(
ほう
)
に
於
(
おい
)
ても実に悦ばしい、段々様子を聞けば、山口屋善右衞門
方
(
かた
)
へ忠義を尽し、
実体
(
じってい
)
にして
居
(
お
)
る由、誠に感服なるぞ、屋敷
内
(
うち
)
でも
其方
(
そち
)
の評判が宜しいから蔭ながら悦んでいた
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
五郎助は前額の
禿
(
は
)
げた、四十前後の
狡
(
ず
)
るそうな男ですが、兄を殺すほどの悪人とも見えず、お糸の弟の友三郎は、十七八の前髪で、番頭は五十がらみの
実体
(
じってい
)
な男、手代の駒吉は少しにやけた
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
兄は先年死んだので、自分が下谷の隠居の世話になって老婆を養っているが、こんな身分の若い女には似合わない、至極
実体
(
じってい
)
なおとなしい女であるという噂であった。それを聞いて半七も少し迷った。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と早口で車夫は
実体
(
じってい
)
。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奉「して見ると其の方共
実体
(
じってい
)
に勤めて、主人の気に入って居ったものと見えるな」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
番頭らしい
実体
(
じってい
)
な四十男が顔を出しました。
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は見るからに
実体
(
じってい
)
な男であった。
西瓜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
其の方
如何
(
いかゞ
)
して所持いたし
居
(
お
)
るぞ、これは多分何者か其の方どもの
実体
(
じってい
)
なるを見込んで、貸付方を頼んだのであろう、いや由、何も怖がることは無い、存じて
居
(
お
)
ることを
真直
(
まっすぐ
)
に申せばよいのじゃ
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“実体”の解説
実体(じったい、en: substance, la: substantia, grc: οὐσία ; ousia)は、古代ギリシアから使われている古典的な哲学用語。文脈によって様々な意味をもつが、基本的には「真に存在するもの」を意味する。
(出典:Wikipedia)
実
常用漢字
小3
部首:⼧
8画
体
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“実体”で始まる語句
実体者
実体鏡
実体概念