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學友
彼は
學友の
誰彼に
萬遍なく
安井の
動靜を
聞いて
見た。
然し
誰も
知るものはなかつた。たゞ
一人が、
昨夕四條の
人込の
中で、
安井によく
似た
浴衣がけの
男を
見たと
答へた
事があつた。
埒もなく
万年青の
葉あらひ、さては
芝生を
這つて
木の
葉を
拾ふ
姿、
我ながら
見られた
体でなく、これを
萬一も
學友などに
見つけられなばと、
心笹原をはしりて、
門外の
用事を
兎角に
厭へば