女郎じょろう)” の例文
そして、ジャズの音が激しく、光芒のなかで、歔欷すすりなくように、或は、猥雑わいざつ顫律せんりつただよわせて、色欲のテープを、女郎じょろうぐものように吐き出した。
「まあ待って下さい。それじゃあ旦那、私は白状しちまいます。お前様のお尋ねなさるお松さんという娘は、女郎じょろうに売られちまったんですよ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「四月の二十三日でございます。女郎じょろうの参拝というのがありまして、これは福岡辺からはもとより京阪から見物に参ります」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
半五「止せえ詰らん事を云うな、同じ土地の女郎屋じょうろやへ遊びに往って、女郎じょろうにはまって馬鹿/\しい、詰らねえ、止せよ」
川岸かし女郎じょろうになる気で台湾たいわんへ行くのアいいけれど、前借ぜんしゃく若干銭なにがしか取れるというような洒落た訳にゃあ行かずヨ、どうも我ながら愛想あいその尽きる仕義だ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その頃、公家くげのお姫様が女郎じょろうになったというのですから、みんな不思議がったに相違ありません。
半七捕物帳:26 女行者 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
女郎じょろう上りめ……渡瀬は不思議に今の言葉で不愉快にされていた。「おぬいさん」と「夢中」という二つの言葉がいっしょに使われるのが何んということなしに不愉快だった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
吉原よしわら追遣おいやってお女郎じょろうにしてしまうからと、それはそれは厳しいおふれで御座います。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
芸者ならも少し気がきいてますよ、板橋あたりの女郎じょろうか、玉の井ですよ。お里は。
夏の夜の冒険 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
お鍋女郎じょろうふすま彼方あなたから横幅よこはばの広い顔を差出さしいだして、「ヘー」とモッケな顔付。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
何でも何とか云う使だ。——それでその使を二年とめておいてしまいに長崎で女郎じょろうを見せたんだがね。その女郎に出来た子が和唐内さ。それから国へ帰って見ると大明は国賊に亡ぼされていた。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女郎じょろう煙管きせるを持つような手付てつきをする、好かない奴。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その家々うち/\ふうで変りはありますが、敵娼あいかたの義理から外の女郎じょろうを仕舞わせるほど馬鹿々々しいものはありますまい。それぐらいならどぶの中へ打捨うっちゃる方が遥かましでしょう。
あとにお村は硯箱すゞりばこを引寄せまして、筆を取り上げ、細々こま/″\と文をしたゝめ、旦那を取らなければ母が私を女郎じょろうにしてしまうと云うから、仕方なしに私は吾妻橋から身を投げて死にますから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何だか今更親子とも云いにくいと云うのは、女房子を打遣うっちゃって女郎じょろうを連れて駈落する身の越度おちど、本人が和尚さんとか納所とか云われる身の上になったからと云って、今わし親父おやじだと云っても
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
年のかないうちくだらないもので、女郎じょろう子供とはく云ったもので、冥利みょうりが悪いことで、その冥利で今は斯うやって斯う云う処へ来て、貧乏の世帯しょたいにわく/\するも昔のばちと思って居りますよ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女「へえ只一軒で、女郎じょろうが一人居りやんす」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)