多少たしょう)” の例文
ははも、そうおもっていたようです。しかし、はは宝物たからものおもったのは、多少たしょうぼくがおもったのと、意味いみがちがうかもしれません。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
どうかして宗教しゅうきょうにはいらしめようとこころみたが、多少たしょう理屈りくつの頭があったから、どうしても信仰しんこうにはいることができない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
で、多少たしょうわたくしのききそこね、おもちがいがないともかぎりませぬから、そのてん何卒なにとぞ充分じゅうぶんにおふくくださいますよう……。
多少たしょう再度さいど内省ないせい分析ぶんせきとはあっても、たしかにこのとおりその時心象しんしょうの中にあらわれたものである。ゆえにそれは、どんなに馬鹿ばかげていても、難解なんかいでもかならず心の深部しんぶにおいて万人ばんにん共通きょうつうである。
仙さんは多少たしょう富裕ゆたかな家の息子の果であろう。乞食になっても権高けんだかで、中々吾儘である。五分苅頭ごぶがりあたま面桶顔めんつうがお、柴栗を押つけた様な鼻と鼻にかゝる声が、昔の耽溺たんできを語って居る。仙さんは自愛家である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
多少たしょうみみとおくなったおぼうさまは、みみむすめほうへやるようにして、いていましたが、うんといわずに、あたまりながら
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのさい私達わたくしたちあいだかわされた問答もんどうなかには、多少たしょう皆様みなさま御参考ごさんこうになるところがあるようにおもわれますので、ついでにその要点ようてんだけここにもうへてきましょう。
『一たいこれは何誰どなたかしら……』こころ千々ちぢみだれながらも、わたくし多少たしょう好奇心こうきしんもよおさずにられませんでした。
バナナも、つえも、その言葉ことばくと、いったい、どこへゆくのだろうかとおもいました。そして、それにたいして、多少たしょう不安ふあんかんじないではいられませんでした。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、多少たしょう無気味ぶきみになりました。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)