地所ぢしよ)” の例文
けれども、それ以上いじやうは、おとうと將來しやうらい學資がくしついても、また自分じぶん叔父をぢたのんで、留守中るすちゆうはらつてもらつた地所ぢしよ家作かさくいても、くちるのがつい面倒めんだうになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
公債こうさいくなつたばかりでなく多少たせう借金しやくきんがあり、家屋かをく地所ぢしよとは全部ぜんぶきん七十ゑん賣却ばいきやくしたのであつた。
さへりあげもせず錦野にしきの懇望こんまうあたかもよしれは有徳うとく醫師いしなりといふ故郷こきやうなにがしにはすくなからぬ地所ぢしよ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つい此間このあひだまでまばらな杉垣すぎがきおくに、御家人ごけにんでもふるしたとおもはれる、物寂ものさびいへひと地所ぢしよのうちにまじつてゐたが、がけうへ坂井さかゐといふひと此所こゝつてから、たちま萱葺かやぶきこはして、杉垣すぎがきいて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)