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ぢしよ
けれども、それ
以上は、
弟の
將來の
學資に
就ても、
又自分が
叔父に
頼んで、
留守中に
賣り
拂つて
貰つた
地所家作に
就いても、
口を
切るのがつい
面倒になつた。
公債が
無くなつたばかりでなく
多少の
借金があり、
家屋と
地所とは
全部で
金七十
圓に
賣却したのであつた。
さへ
取りあげもせず
錦野が
懇望恰もよし
彼れは
有徳の
醫師なりといふ
故郷某の
地には
少からぬ
地所を
つい
此間迄は
疎らな
杉垣の
奧に、
御家人でも
住み
古したと
思はれる、
物寂た
家も
一つ
地所のうちに
混つてゐたが、
崖の
上の
坂井といふ
人が
此所を
買つてから、
忽ち
萱葺を
壞して、
杉垣を
引き
拔いて