四時よじ)” の例文
「えゝてよ」と柱時計はしらどけいると、もう四時よじちかくである。御米およねは「四時よじ五時ごじ六時ろくじ」と時間じかん勘定かんぢやうした。小六ころくだまつてあによめかほてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と、發着はつちやくえき靜岡しづをかもどしてると、「や、此奴こいつよわつた。」おもはずこゑしてつぶやいた。靜岡着しづをかちやく午前ごぜんまさに四時よじなのであつた。いや、串戲じようだんではない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くだいてへば、夜逃よにげ得手えてでも、朝旅あさたび出來できない野郎やらうである。あけがた三時さんじきて、たきたての御飯ごはん掻込かつこんで、四時よじ東京驛とうきやうえきなどとはおもひもらない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
曇つた秋の日はもう四時よじした。部屋は薄暗くなつてくる。観覧人は極めて少ない。別室のうちには、たゞ男女二人ふたりの影があるのみである。女は画を離れて、三四郎の正面につた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
宗助そうすけ其間そのあひだに、なんとかして、もつと鷹揚おうやうきて分別ふんべつをしなければならないと決心けつしんだけをした。三朦朧もうろうとしてきこえたやうきこえないやうなうちにぎた。四時よじ、五、六まるらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)