かゝ)” の例文
參詣人さんけいにんへも愛想あいそよく門前もんぜん花屋はなや口惡くちわかゝ兎角とかく蔭口かげぐちはぬをれば、ふるしの浴衣ゆかた總菜そうざいのおのこりなどおのずからの御恩ごおんかうむるなるべし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「西さんそこへと飛んで來て、何をするかと見てあれば、高天原たかまのはらかんずまり、かゝの腹に子がやどる。……」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かゝさまでごわすか、持ちましたとも、……えいと……あれは確か三年前で、芋子村いもこむらの大尽の娘さアだ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
左様そう重箱の角までの世話の届くものではありません、早いところが我々どもの家でさえかゝあ左衛門が、ちょいとホマチを遣るのを主人あるじが知らずにることは幾らもあります。
たまには、かゝァと角力すまふをとつた
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
容貌きりやうが能く音羽小町と綽名あだなにさるゝ程にてあればうぢなくて玉の輿に乘る果報くわはう愛度めでたく其日消光くらしの賣卜者の娘が大家のよめに成なら親父殿まで浮び上り左團扇ひだりうちはに成で有らうと然ぬだに口やかましきは棟割長屋むねわりながや習慣ならひとて老婆もかゝも小娘もみな路次口に立集たちつどかしましと讀むじだらくの口唇くちびるかへ餞舌おちやつぴいねぐらもとむる小雀の群立騷むらだちさわぐ如くなり斯くとは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
亡き母の葬式の時きり土藏から出たことの無かつた輪島の本膳が二十人前、箱のまゝ擔ぎ出されて、お駒や近所から手傳ひに來たかゝ衆の手によつて空拭きをかけられた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「そんなことはありません。いくら僕がハルピンが好きでも、さういふものはありませんよ。矢張、先生と同じですよ。東京の郊外に置いて来たかゝの夢でも見るだけですよ」
時子 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
ところが己がわきの女に掛り合った所から、かゝアが悋気りんきを起し、以前の悪事をがア/\と呶鳴どなり立てられ仕方なく、旨くだまして土手下へ連出して、己が手に掛け殺して置いて
お子様はうお三方おありなさいますね、と入らざるおせっかいを申しますと、澄したもんで、ナニサ乃公おれは大の女嫌いだよ、しかかゝアは別ものなんで、何うも恐れ入った御挨拶で
馬「かゝア麦湯でも茶でも一杯上げろよ、中の条から打積ぶっつんで来たお客様だ…」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
角「これにはいろ/\訳があって、今はわしかゝに持って居りやすよ、それから火事場でもってからに母親おふくろにはぐれておっ死のうとする娘を助けて連れて来ると、私がほんとうの娘だという訳よ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あんなをんなかゝアにすると三年の不作ふさくだ。
角「こりゃおらかゝアだ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)