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はきけ
ふりがな文庫
“
嘔気
(
はきけ
)” の例文
旧字:
嘔氣
おぬいはそのすえたような匂いをかぐと、軽い
嘔気
(
はきけ
)
さえ催すのだった。けれども、それだからといって渡瀬さんを
卑
(
いや
)
しむ気にはなれなかった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
不思議に思つて、自分が先づ肉の一切を箸につまんで口に入れた途端、胸腑に悪臭が渦き起りむつと
嘔気
(
はきけ
)
を催したとある。
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
いわば軽い
嘔気
(
はきけ
)
のような気分が起ったので、私は彼等から眼を離して、火鉢の前に坐り、手持無沙汰に灰を掻きならした。
犬神
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「あの女」は
嘔気
(
はきけ
)
が止まないので、上から営養の取りようがなくなって、
昨日
(
きのう
)
とうとう
滋養浣腸
(
じようかんちょう
)
を試みた。しかしその結果は思わしくなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女も、俄に悪寒と
嘔気
(
はきけ
)
を感じ身震いが出たほど、切なく、苦しく悲しいのであった。けれども、どうしても涙は出ない。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
彼女はしまいには殆ど
眩惑
(
めまい
)
さえかんじてきた。
嘔気
(
はきけ
)
と目まいと前のめりとが、
交
(
かわ
)
る交る迫ってきた。淵がだんだん目の前にせり上ってくるのだった。
蛾
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その上、これは大事なことですが、近頃では、この私もなんとなく身体がダルくときどき
嘔気
(
はきけ
)
がしたり、
目暈
(
めま
)
いがしたり、どうも尋常ではございません。
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
まったく地獄の苦しみを続けて来たのですから、軽い脳貧血をおこしたらしく、頭が痛む、
嘔気
(
はきけ
)
を催してくる。
指輪一つ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
生ぐさい血のりの臭う鹿や熊の生肉を食った踏査の数日は考えただけでも
嘔気
(
はきけ
)
を催すが、それにしても、玉目三郎だけを出してやらねばならぬ理由とはならなかった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
やっと父親の存在を
意識
(
いしき
)
してきたらしく、ある晩、東京から久しぶりで
訪
(
たず
)
ねてきた友人と街で飲みあかし、あくる朝、帰ってくると、すぐ胃が痛みだし、
嘔気
(
はきけ
)
を催したので
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
「いかんせん、身をうごかすと、頭は昏乱し、薬を
摂
(
と
)
れば、
嘔気
(
はきけ
)
がつきあげてくるし……」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると、背後から大声でもって、警告してやりたい程、
矢鱈無性
(
やたらむしょう
)
に不安に襲われた。この
嘔気
(
はきけ
)
のようにつきあげてくる不安は、あながち
酩酊
(
めいてい
)
のせいばかりでは無いことはよく判っていた。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
午後に一同が病院を訪ねた時は、正太は興奮した気味で、皆なの見ている前で手足なぞを拭かせたが、
股
(
もも
)
のあたりの肉はすっかり落ちていた。
嘔気
(
はきけ
)
があるとかで、滋養物も
咽喉
(
のど
)
を通らなかった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし水がなくては呑めないからどうか水を一杯くれと云った。浅利君はすぐに小使室へ茶碗を取りに行った。それを待っているうちに急に
嘔気
(
はきけ
)
が込み上げて来たので右向きに頭を傾けて吐いた。
病中記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
すぐに冷たい汗と
嘔気
(
はきけ
)
が来る。呼吸困難になり、視力が衰へ、知覚を失ひ、一般に黄色く見えるやうになる。そしてひきつける。もし時を遅らさずに助ける事が出来なければ、死んでしまふのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
何しろ手さきが不器用だから……
薔薇
(
ばら
)
もチュウリップもまちがえて造りそうだ。日給八十銭は悪くない。不安の前には妙に
嘔気
(
はきけ
)
が来る。嘔くものもない妙な不安な状態。やすくに神社はあらたか。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
と奇声を発したと思うと、又もはげしい
嘔気
(
はきけ
)
に襲われたと見えて
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
津幡 (脈をみながら)
嘔気
(
はきけ
)
なんかは……?
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
悪酔に
嘔気
(
はきけ
)
がついた。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一旦
鎮
(
しづ
)
まりかゝつた
嘔気
(
はきけ
)
は又激しく催して来た。お末が枕に顔を伏せて深い呼吸をして居るのを見ると、鶴吉は居ても立つても居られなかつた。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
そうして父の病状の思ったほど険悪でない事、この分なら当分安心な事、眩暈も
嘔気
(
はきけ
)
も皆無な事などを書き連ねた。最後に先生の
風邪
(
ふうじゃ
)
についても
一言
(
いちごん
)
の見舞を
附
(
つ
)
け加えた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
嘔気
(
はきけ
)
を催すような不愉快な心持になりましたが、お静の安否が心もとないので、もう一度ギヤマンの穴から覗くと、広間は広々と取片付けられて、白日の光が一杯にさし込み
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しゃりこうべは程よく
微笑
(
わら
)
って、そしてその声を消してしまった。——かれは間もなく
嘔気
(
はきけ
)
に似たうすきみわるさを汚ない匂いをかいだように、その鼻膜のあたりにかぎつけた。
しゃりこうべ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
急にお雪は
嘔気
(
はきけ
)
を覚えた。縁側の方へ行って吐いた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
院長に聞いて見ると、
嘔気
(
はきけ
)
が来なければ心配するほどの事もあるまいが、それにしてももう少しは食慾が出るはずだと云って、不思議そうに考え込んでいた。自分は
去就
(
きょしゅう
)
に迷った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
メモの紙切れをくりながらその何行かをあわせようとすると、それがばらばらになって
粘
(
ねば
)
りがなくなりどうしてもくっ附かない、てんで書く気が動かないで
嘔気
(
はきけ
)
めいた厭気までがして来る。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
すると四時十五分前頃から、今まで何とも無かったのに、急に
嘔気
(
はきけ
)
を
催
(
もよ
)
おして来た。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうさね。私が代られれば代ってあげても
好
(
い
)
いが。——
嘔気
(
はきけ
)
はあるんですか」
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの病人は
嘔気
(
はきけ
)
があって、向うの端からこっちの
果
(
はて
)
まで響くような声を出して
始終
(
しじゅう
)
げえげえ吐いていたが、この二三日それがぴたりと聞えなくなったので、だいぶ落ちついてまあ結構だと思ったら
変な音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのうちに
嘔気
(
はきけ
)
が来た。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“嘔気”の意味
《名詞》
嘔気 (おうき)
嘔吐する事を望む状態。吐きたくなるほど気分が悪いこと。
(出典:Wiktionary)
“嘔気(吐き気)”の解説
吐き気(はきけ)とは、腹部上部に不快感を覚え、嘔吐(胃内の内容物を口から吐き出すこと)を催す症状・感覚である。嘔気(おうき)、悪心(おしん)ともいう。むかつきもこれに近い症状である。
消化器の異常や、消化不良発生など、様々な原因がある。
(出典:Wikipedia)
嘔
漢検1級
部首:⼝
14画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“嘔”で始まる語句
嘔吐
嘔
嘔氣
嘔吐気
嘔吐物
嘔出
嘔上
嘔感
嘔逆
嘔吐方