品行ひんかう)” の例文
時候じこうと、ときと、光線くわうせんの、微妙びめう配合はいがふによつて、しかも、品行ひんかう方正はうせいなるものにのみあらはるゝ幻影まぼろしだと、宿やど風呂番ふろばんの(しんさん)がつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
探り看るに實に忠相ぬしが思ふに違はず腹黒はらくろにして品行ひんかう能らず天下の主個あるじと爲は更なり落胤らくいんとして所領しよりやうの少も宛行あておこなふて扶助ふじよする時は後に到りて徳川の爲に害を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼女かのぢよ長男ちやうなんつとむゆめのやうに成人せいじんした。小學時代せうがくじだいから學業がくげふ品行ひんかうとも優等いうとう成績せいせきで、今年ことし中學ちうがくへると、すぐに地方ちはう專問學校せんもんがくかう入學試驗にふがくしけんけるためにつたのである。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
かれ天性てんせいやさしいのと、ひと親切しんせつなのと、禮儀れいぎるのと、品行ひんかう方正はうせいなのと、着古きぶるしたフロツクコート、病人びやうにんらしい樣子やうす家庭かてい不遇ふぐう是等これらみなすべ人々ひと/″\あたゝか同情どうじやう引起ひきおこさしめたのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
小父をぢさんたちは、おとなしいし、第一だいいち品行ひんかう方正はうせいだから……つたごと無事ぶじであつた。……はいゝとして、隣地りんち心行寺しんぎやうじ假門かりもんにかゝると、電車でんしや行違ゆきちがふすきを、同伴つれが、をかしなことをいふ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)