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口中
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こうちゅう
ふりがな文庫
“
口中
(
こうちゅう
)” の例文
ましてすん子のごとき、薩摩芋に経験の
乏
(
とぼ
)
しい者は無論
狼狽
(
ろうばい
)
する訳である。すん子はワッと云いながら
口中
(
こうちゅう
)
の芋を食卓の上へ吐き出した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は、竹見からもぎとった火のついた煙草を、大口あいて、ぱくりと
口中
(
こうちゅう
)
へ! まるで、はなしにある煙草ずきの蛙のように。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
南無阿保原
(
なむあぼはら
)
の地蔵尊、
口中
(
こうちゅう
)
一切
(
いっさい
)
の
病
(
やまい
)
を除かせたまえ」と言って、その煙草を御供え申したのだそうである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
また白紙の札に妙な
梵字
(
ぼんじ
)
ような字で呪文が書いて
貼
(
はっ
)
てある。鍋被の女には歯というものがないようだ。
何
(
いず
)
れも虫が食ってしまったらしい。
口中
(
こうちゅう
)
は暗い
洞
(
うつろ
)
である。
櫛
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
霊廟
(
れいびょう
)
の土の
瘧
(
おこり
)
を落し、
秘符
(
ひふ
)
の威徳の鬼を追ふやう、
立処
(
たちどころ
)
に坊主の虫歯を
癒
(
いや
)
したは
然
(
さ
)
ることながら、
路々
(
みちみち
)
も
悪臭
(
わるぐさ
)
さの消えないばかりか、
口中
(
こうちゅう
)
の臭気は、次第に持つ手を
伝
(
つたわ
)
つて
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
瞬く間に水、焼酎、まだ何やらが
口中
(
こうちゅう
)
へ
注入
(
そそぎい
)
れられたようであったが、それぎりでまた
空
(
くう
)
。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
ころげ
落
(
お
)
ちた
神童
(
しんどう
)
と
畸童
(
きどう
)
、どっちも、そこでは
健在
(
けんざい
)
だったが、落ちゆくまに、
竹童
(
ちくどう
)
はかれの耳タブをギュッとつかみ、蛾次郎はあいての
口中
(
こうちゅう
)
へ
拇指
(
おやゆび
)
、もう一本、
鼻
(
はな
)
のあなへ
人差指
(
ひとさしゆび
)
を
突
(
つ
)
ッこんでいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諸君も御承知であろうが、汁にした薩摩芋の熱したのほど
口中
(
こうちゅう
)
にこたえる者はない。
大人
(
おとな
)
ですら注意しないと
火傷
(
やけど
)
をしたような心持ちがする。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
接伴
(
せっぱん
)
委員長のカーボン
卿
(
きょう
)
は、金博士が、あまりにも
空爆下
(
くうばくか
)
に無神経でありすぎるのに
愕
(
おどろ
)
き、
周章
(
あわ
)
てて
持薬
(
じやく
)
のジキタリスの
丸薬
(
がんやく
)
をおのが
口中
(
こうちゅう
)
に放りこむと
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
頭を
足蹴
(
あしげ
)
にされた。腹にも
載
(
の
)
った。
胸元
(
むなもと
)
を踏みつけては、駆けだしてゆく。あッ、
口中
(
こうちゅう
)
へ泥靴を……。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
昔の
計
(
はかりごと
)
を繰り返す勇気のなかった余は、
口中
(
こうちゅう
)
を
潤
(
うるお
)
すための氷を歯で
噛
(
か
)
み
砕
(
くだ
)
いては、正直に残らず吐き出した。その代り日に数回
平野水
(
ひらのすい
)
を一口ずつ飲まして貰う事にした。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
津田は歯磨粉で
口中
(
こうちゅう
)
をいっぱいにしながら、また
昨夜
(
ゆうべ
)
の風呂場を
探
(
さが
)
しに廊下へ出た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“口”で始まる語句
口惜
口
口吻
口説
口髭
口籠
口許
口上
口調
口々