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厭悪
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えんお
ふりがな文庫
“
厭悪
(
えんお
)” の例文
旧字:
厭惡
とはいへ、此男の存在は彼女にとつて厭はしいものだつた。出会の度を重ねれば重ねるほど、
厭悪
(
えんお
)
は益々強くなつて行くのであつた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
という不安と惧れに変っている、この家を出てむかしの生活へ帰る自分を考えると、お民は肌寒くなるような
厭悪
(
えんお
)
を感ずるのだった。
初蕾
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
曾
(
かつ
)
ては彼が記憶に上るばかりでなく、彼の全身にまで上った多くの悲痛、
厭悪
(
えんお
)
、
畏怖
(
いふ
)
、
艱難
(
かんなん
)
なる労苦、及び
戦慄
(
せんりつ
)
——それらのものが皆燃えて
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
愈々
(
いよいよ
)
其妻に対して
厭悪
(
えんお
)
の情を増し虐待の状を増すことであろうと思うと、其妻に対しても気の毒で
堪
(
たま
)
らぬ上に、其男の憎らしさが込みあげて来てならぬ。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それで
私
(
わたくし
)
は
反応
(
はんのう
)
しています。
即
(
すなわち
)
疼痛
(
とうつう
)
に
対
(
たい
)
しては、
絶呌
(
ぜっきょう
)
と、
涙
(
なみだ
)
とを
以
(
もっ
)
て
答
(
こた
)
え、
虚偽
(
きょぎ
)
に
対
(
たい
)
しては
憤懣
(
ふんまん
)
を
以
(
もっ
)
て、
陋劣
(
ろうれつ
)
に
対
(
たい
)
しては
厭悪
(
えんお
)
の
情
(
じょう
)
を
以
(
もっ
)
て
答
(
こた
)
えているです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
そのとき彼の身内からは、憎悪とも
厭悪
(
えんお
)
ともつかぬ悪臭が噴きだしたような気がした。生理的な不快さが、さか立った毛穴からむんむんと放出しているのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
私は逆説を
弄
(
ろう
)
しているわけではない。人生の不幸、悲しみ、苦しみというものは
厭悪
(
えんお
)
、厭離すべきものときめこんで
疑
(
うたぐ
)
ることも知らぬ魂の方が不可解だ。悲しみ、苦しみは人生の花だ。
悪妻論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
子供は僕と同年位の男の子で、
襤褸
(
ぼろ
)
を着て、いつも二本棒を垂らしている。その子が僕の通る度に、指を
銜
(
くわ
)
えて僕を見る。僕は
厭悪
(
えんお
)
と多少の
畏怖
(
いふ
)
とを以てこの子を見て通るのであった。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼はその
厭悪
(
えんお
)
すべき
蠢動
(
しゅんどう
)
のうちに、
啻
(
ただ
)
に現在の社会制度を掘り返すのみでなく、なお哲学をも、科学をも、法律をも、人類の思想をも、文明をも、革命をも、進歩をも、すべてを掘り返す。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
頗
(
すこぶ
)
る、高邁でない。モオパスサンは、あれほどの男であるから、それを意識していた。自分の才能を、全人格を
厭悪
(
えんお
)
した。作品の裏のモオパスサンの憂鬱と
懊悩
(
おうのう
)
は、一流である。気が狂った。
女人創造
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
あの災難の後、父がわざわざあの坊主を
屈請
(
くっしょう
)
して、施行と供養を催して、自他の良心を欺かんとしたあの唾棄すべき喜劇。滑稽とも、悲惨とも言い様のないほどに、
厭悪
(
えんお
)
を感じているのは事実です。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
兵と雖も
屡々
(
しばしば
)
坑内へ入ることは鉱山事務所で
厭悪
(
えんお
)
するのである。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
精神的にも肉躰的にも、余りに若かった真沙には、恐怖に代ってのしかかった義務の観念が新しい苦痛となり、抑えようのない
厭悪
(
えんお
)
感となった。
柘榴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かう言つた気質の彼女であつたから、暗い陰影をうしろに引きずつてゐるらしいその見知らぬ男の不安な存在は、彼女を
厭悪
(
えんお
)
させるに充分であつた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
殆
(
ほとん
)
ど差別のつかないものであった……多くの悲痛、
厭悪
(
えんお
)
、
畏怖
(
いふ
)
、
艱難
(
かんなん
)
なる労苦、及び戦慄は、私の記憶に上るばかりでなく、私の全身に上った——私の腰にも
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
現時
(
げんじ
)
の
見解
(
けんかい
)
及
(
およ
)
び
趣味
(
しゅみ
)
を
見
(
み
)
るに、六
号室
(
ごうしつ
)
の
如
(
ごと
)
きは、
誠
(
まこと
)
に
見
(
み
)
るに
忍
(
しの
)
びざる、
厭悪
(
えんお
)
に
堪
(
た
)
えざるものである。かかる
病室
(
びょうしつ
)
は、
鉄道
(
てつどう
)
を
去
(
さ
)
ること、二百
露里
(
ヴェルスタ
)
のこの
小都会
(
しょうとかい
)
においてのみ
見
(
み
)
るのである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼が熱して来れば来るほど、僕の
厭悪
(
えんお
)
と恐怖とは高まって来る。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
富三郎には少しも愛情をもっていなかったので、嫉妬などはまったく感じなかったが、けがらわしさと
厭悪
(
えんお
)
とで、とつぜん激しい吐きけにおそわれ、夜具から出る暇もなく嘔吐した。
赤ひげ診療譚:02 駈込み訴え
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自己
厭悪
(
えんお
)
、忿りも悲しみもない、それがむしろ彼をおどろかせる。
葦
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
厭悪
(
えんお
)
を感じさせたことは
慥
(
たし
)
かだ
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
という
厭悪
(
えんお
)
のおもいであった。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“厭悪”の意味
《名詞》
厭 悪(えんお)
厭い憎むこと。
(出典:Wiktionary)
厭
漢検準1級
部首:⼚
14画
悪
常用漢字
小3
部首:⼼
11画
“厭悪”で始まる語句
厭悪感