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卑屈
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ひくつ
ふりがな文庫
“
卑屈
(
ひくつ
)” の例文
卑屈
(
ひくつ
)
になるなと云った男の言葉がどしんと胸にこたえてきて、いままでの
貞女
(
ていじょ
)
のような私の
虚勢
(
きょせい
)
が、ガラガラと
惨
(
みじ
)
めに壊れて行った。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「まったく、おじいさんの、おっしゃるとおりです。
金
(
かね
)
が、あるために、
貧乏人
(
びんぼうにん
)
をつくり、また、
貧乏
(
びんぼう
)
が、
人間
(
にんげん
)
を
卑屈
(
ひくつ
)
にするのです。」
かたい大きな手
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
病気なれば気の毒、
早速
(
さっそく
)
医者の手にかかるがいいが、もし我儘だったらあんまり
卑屈
(
ひくつ
)
にへいへいしていると、
却
(
かえ
)
って
増長
(
ぞうちょう
)
させていけない。
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
何を苦しんでか外部の顔のために進取の気象を
奪
(
うば
)
われ、いたずらに
卑屈
(
ひくつ
)
に
引込
(
ひっこみ
)
勝ちになろう、と思えば心も晴々しくなって来る。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
八五郎の
剽輕
(
へうきん
)
な調子に
誘
(
さそ
)
はれるやうに、
身扮
(
みなり
)
の
凝
(
こ
)
つた、色の淺黒い、キリリとした若いのが、少し
卑屈
(
ひくつ
)
な態度で、恐る/\入つて來ました。
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
が、いつも物に
脅
(
おび
)
えているようなその眼は、遠く、藤吉郎のすがたを見ても、あわててまた窯の前に、
卑屈
(
ひくつ
)
な犬のように背を
屈
(
かが
)
めてしまう。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は、決して、
目下
(
めした
)
の者の持つ
卑屈
(
ひくつ
)
な考で、自分自身を
卑
(
いやし
)
めることはしなかつた。その反對に、私は、かう云つたのである——
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
きっとまた、へまな不作法などを演じて、兄たちを怒らせるのではあるまいかという
卑屈
(
ひくつ
)
な不安で一ぱいだった。
故郷
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
卑屈
(
ひくつ
)
にすることだ。心にも行為にも裏と表とを教えることだ。誰だって自分の行為を他に約束すべきではない。自分の行為の主体を、監視人に預けるべきではない。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
何故かというと、そう日本婦人が欧米の婦人に及ばないとかなんとか口々にいうていると、自然に日本婦人が
卑屈
(
ひくつ
)
になって来て、向上心が無くなってしまうのである。
婦人に対する実業思想の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「狐」や「三つボタン」のような上級生に対して、
卑屈
(
ひくつ
)
にもならず、言いがかりもつけられないようにするには、次郎の苦心も、実際並たいていではなかったのである。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「いいえ、僕の友だちがやはり
旧藩主
(
きゅうはんしゅ
)
のところへ家庭教師にあがっていますが、ナカナカ
辛
(
つら
)
いといっています。僕は正三が
卑屈
(
ひくつ
)
な人間にならなければいいと思って、それを案じるのです」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
かくいったからとて人間の心の中に
唯物
(
ゆいぶつ
)
的
拝金
(
はいきん
)
的
卑屈
(
ひくつ
)
なる
根性
(
こんじょう
)
があって、体の制裁によって心が左右さるるものだと断言することは出来ぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そしてそれとなく、於福に向っては、
卑屈
(
ひくつ
)
な気を持つなと教え、世間に向っては、明国と日本との密接な関係を
諭
(
さと
)
した。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう、そう、
前
(
まえ
)
からだれにも、
人間
(
にんげん
)
平等
(
びょうどう
)
の
権利
(
けんり
)
はあったのさ。それを
無智
(
むち
)
と
卑屈
(
ひくつ
)
のため、
自
(
みずか
)
ら
放棄
(
ほうき
)
して、
権力
(
けんりょく
)
や、
金銭
(
きんせん
)
の
前
(
まえ
)
に、
奴隷
(
どれい
)
となってきたのだ。
心の芽
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
又六の弟子で、小屋の取締りを兼ねて居る、中年者の
巳之吉
(
みのきち
)
はヒヨコヒヨコと
卑屈
(
ひくつ
)
らしく小腰を屈めました。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのあくる日から復一は真佐子に会うと一そう
肩肘
(
かたひじ
)
を張って
威容
(
いよう
)
を示すが、内心は
卑屈
(
ひくつ
)
な気持で充たされた。もう口は利けなかった。真佐子はずっと大人振ってわざと
丁寧
(
ていねい
)
に
会釈
(
えしゃく
)
した。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
卑屈
(
ひくつ
)
になるばかりだ。銃後はややこしくて、むずかしいねえ。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と祐助君は正三君が
卑屈
(
ひくつ
)
になることを恐れて強くいう。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これに反し打たれても
蹴
(
け
)
られてもジッとこれに堪えるのは、はなはだ陰気で
卑屈
(
ひくつ
)
のごとく、普通の人にはちょっとその強さを見ることが出来ぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
五十五六の世馴れた愛嬌者で、少し
卑屈
(
ひくつ
)
らしいところはありますが、その代り町内の旦那衆に可愛がられて、小僧を相手に一
文商
(
もんあきな
)
ひをし乍ら氣樂に暮して居ります。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それが、暗に相違したので、すぐ彼らしい
卑屈
(
ひくつ
)
が出て、居るに堪えないような容子をしていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少年には
卑屈
(
ひくつ
)
の態度は少しも見えなかった。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
頬冠
(
ほゝかむ
)
りも取らずに、格子の外で二つ三つお辭儀する
卑屈
(
ひくつ
)
らしさが、妙にお靜を
焦立
(
いらだ
)
たせます。
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
卑屈
(
ひくつ
)
茶
(
ぢゃ
)
わん
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
卑屈
(
ひくつ
)
らしい清三郎は、平次の袖を引くのです。長いものに卷かれつけて居る江戸の町人達は、どんなことがあつても、武家のしかも大身とは爭ふことは出來なかつたのです。
銭形平次捕物控:199 蹄の跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は疊に手は置きましたが、
卑屈
(
ひくつ
)
にならない程度の丁寧さで、かうきり出しました。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
愛嬌
(
あいけう
)
者の喜八は、少し
卑屈
(
ひくつ
)
らしいが、
邪念
(
じやねん
)
のない世辭笑ひをして居ります。
銭形平次捕物控:181 頬の疵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
妹の死骸を引取りに行くのに、岡つ引をつれて行くのは、相手に濟まないと言つた、町人らしい
卑屈
(
ひくつ
)
な考へからでせう。それにこの
界隈
(
かいわい
)
では、錢形平次の顏はあまりによく知られて居りました。
銭形平次捕物控:199 蹄の跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次に呼ばれて、喜三郎は
卑屈
(
ひくつ
)
らしく二つ三つお辭儀をしました。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
妙なところへ、
卑屈
(
ひくつ
)
な世辭笑ひの伴奏が入ります。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
卑
常用漢字
中学
部首:⼗
9画
屈
常用漢字
中学
部首:⼫
8画
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卑屈癖