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十重
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とえ
ふりがな文庫
“
十重
(
とえ
)” の例文
一人の検事がすぐ進んで行ってタン屋の店から出て来るばかりのそのいやなものをくるくる
十重
(
とえ
)
ばかりにひっくくってしまいました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
縄なくて
十重
(
とえ
)
に
括
(
くく
)
る
虜
(
とりこ
)
は、捕われたるを
誇顔
(
ほこりがお
)
に、
麾
(
さしまね
)
けば来り、
指
(
ゆびさ
)
せば走るを、他意なしとのみ弄びたるに、奇麗な葉を裏返せば毛虫がいる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
寄手
(
よせて
)
の
十重
(
とえ
)
、
二十重
(
はたえ
)
も、かろがろしくなく、城兵の疲れを待つふうだが、もし、みかどの脱島が成功したとすれば、関東の令は、この千早一城に
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
名状しがたき混乱、倒れた一人の上に、
十重
(
とえ
)
はたえに折りかさなった人の山、その過半数は例のセルロイド面をつけたままだ。笑いの面の
蹴球戦
(
しゅうきゅうせん
)
だ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これはたいした人気で、あたしのお座は、
十重
(
とえ
)
にも取りまかれ、頭の上からも押っかぶさるほどに愛された。
旧聞日本橋:25 渡りきらぬ橋
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
かねて合図のあったものか、忽ち天主の頂きからトウトウと聞こえる太鼓の音! 館の四門の方角からドッと起こった
鬨
(
とき
)
の声! 館は
十重
(
とえ
)
にも囲まれたらしい。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
櫓の前には鞍を置いた馬が
十重
(
とえ
)
、
二十重
(
はたえ
)
につながれ、城では絶えず太鼓を打って士気を鼓舞していた。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
それ
等
(
ら
)
が
十重
(
とえ
)
二十重
(
はたえ
)
に
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
って
絵巻物
(
えまきもの
)
をくり
拡
(
ひろ
)
げているところは、
全
(
まった
)
く
素晴
(
すば
)
らしい
眺
(
なが
)
めで、ツイうっとりと
見
(
み
)
とれて、
時
(
とき
)
の
経
(
た
)
つのも
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
う
位
(
くらい
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
また
十重
(
とえ
)
八十重
(
はたえ
)
に入り混り、また時間的にも無限の昔から無限の未来に連絡しているのであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
軒下の
流
(
ながれ
)
も、その屋根を圧して果しなく
十重
(
とえ
)
二十重
(
はたえ
)
に高く
聳
(
た
)
ち、
遥
(
はるか
)
に
連
(
つらな
)
る雪の山脈も、
旅籠
(
はたご
)
の
炬燵
(
こたつ
)
も、
釜
(
かま
)
も、釜の下なる火も、
果
(
はて
)
は虎杖の家、お米さんの薄色の袖、
紫陽花
(
あじさい
)
雪霊続記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
天上の
天
(
あま
)
の
川
(
がわ
)
がすっかり凍って、その凍った流れが滝になって、この世界の地上のいちばん高いところから、どうっと氷の大洪水が地上いっぱいに
十重
(
とえ
)
も
二十重
(
はたえ
)
も取りまいて、人畜は言わでものこと
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私たちには、
十重
(
とえ
)
八十重
(
はたえ
)
の
因
(
いん
)
、
縁
(
えん
)
、
果
(
か
)
の紐が結びつけられていまして、成功を目標にして努力しても、案外早く酬いられる人もあり、随分遅く酬いられる人もあります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
綿を
束
(
つか
)
ねて
湧
(
わ
)
き
出
(
い
)
でて、末広がりに天井へ、白布を開いて
騰
(
のぼ
)
る、湧いてはのぼり、湧いてはのぼって、
十重
(
とえ
)
に
二十重
(
はたえ
)
にかさなりつつ、生温い
雫
(
しずく
)
となって、人の
膚
(
はだえ
)
をこれぞ蒸風呂。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十
常用漢字
小1
部首:⼗
2画
重
常用漢字
小3
部首:⾥
9画
“十重”で始まる語句
十重二十重