出來いできた)” の例文
新字:出来
叩けばゆるやかに出來いできたさかなはといきまけばまだきゝに行た者が歸りませんと落付たり露伴こらへず何處いづこまで聞にやりしぞ一時間も掛るにまだ戻らぬかとことば
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
告て臺所だいどころへ下り所化しよけへもあつく禮をのべ居たる處へ奧の方より侍僧じそう出來いできたり明日は未明みめいの御供そろひにて相良まで御出あるにより陸尺ろくしやく仲間ちうげん支度したくすべしと申渡しけるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
われ永遠とこしへの光を視て汝の思ひの出來いできたもとを知る、なほかの光に照らされてわれ自ら輝くごとし 一九—二一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
從者ずさはやがて門に立ちよりて、『瀧口入道殿の庵室は茲に非ずや。遙々はる/″\たづね來りし主從二人、こゝ開け給へ』と呼ばはれば、内よりともしびげて出來いできたりたる一個の僧
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
酒亭の女主人をみなあるじ色を變じて馳せ來りて云ふやう。氣の毒なることこそ出來いできたり候ひぬれ。岸區リドすぐれたる舟人六人未だ海より歸らずして、就中なかんづく憐むべきアニエエゼは子供五人と共に岸に坐して待てり。
見て汝は何者なるやわれ今宵こよひ此質屋へ忍び入り思ひのまゝぬすまんといま引窓ひきまどより這入はひりたるに屋根にて足音あしおとする故不思議ふしぎおも出來いできたりたり汝聲を立てなば一うちこほりの如きやいば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つうじければ山内先生の御出とならば自身に出迎でむかうべしと何か下心したごころのある天忠が出來いできた行粧ぎやうさう徒士かち二人を先立自身はむらさきの法衣ころも古金襴こきんらん袈裟けさかけかしらには帽子ばうしを戴き右の手に中啓ちうけい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)